烏来で温泉に浸かった翌朝、ホテルの朝食中にマリエさんが地図アプリを開きながら言いました。「今日から3日間、雑貨巡りね。ルートは私が決める。Lulucoは財布だけ持ってきて」。
冗談なのか本気なのか分からないまま従いましたが、結果的にこれが大正解でした。空間デザイナーとして毎日「何を置いて何を置かないか」を仕事で考えているマリエさんの買い物は、私とは根本的に違います。
素材を触って確かめる。棚の並べ方で店のセンスを読む。「これは10年後も使えるか」を無意識に考えている。そういう人と歩くと、自分だけでは絶対に入らなかった店に連れていかれるし、手に取らなかったものが気になり始めます。
この記事は、烏来温泉の余韻が残るまま、翌日から3日間の雑貨巡りの記録です。

マリエさんが決めたルート|「欲張ったら何も残らない」
「せっかくだから迪化街も永康街も士林夜市も」と言いかけたところで、マリエさんに遮られました。「それ、全部行ったら何も買えないよ。移動で終わる」。結局「大稲埕→赤峰街→中山」という1日1エリアの流れに落ち着きました。

実際のルート(1日ごとの動き)
- 1日目(大稲埕エリア):永楽市場周辺の老舗茶行で茶器・茶葉をじっくり選ぶ。午前10時スタートで昼過ぎまで滞在。
- 2日目(赤峰街エリア):文房具店とアクセサリーショップを徒歩で巡る。小さなエリアに魅力的な店が集中しています。
- 3日目(中山エリア):雑貨併設カフェで休憩しつつ「やっぱり欲しい」と思ったものを買い足し。最終日は荷物整理の時間も見越して午後早めに切り上げ。
各店の滞在時間は30分〜1時間が目安。マリエさん曰く「午前中に行った方がいい。店員さんに余裕があるから、話しかけると教えてくれることが全然違う」。これは本当でした。

永楽市場周辺にて、小腹がすいて2人でCafeでお茶、至福の時間
大稲埕・嶢陽茶行|マリエさんが「ここは急がないで」と言った理由
嶢陽茶行の扉を開けた瞬間、マリエさんが足を止めました。何も言わずに店内をぐるりと見渡して、「棚の組み方が綺麗。何を売りたいかが分かる店」とつぶやきました。
創業180年以上の老舗で、茶葉・茶器・茶缶がびっしり並んでいます。観光客向けの賑やかさはなく、静かで、香りだけが空間を満たしていました。

「6人用は買わなくていい」と止められた話
茶葉は店員さんに「普段使いできるもの」と伝えて、東方美人茶・凍頂烏龍茶・高山茶の3種類を提案してもらいました。
問題は茶器でした。棚の中段にあった6人用のセット(NT$3,800)に一目惚れしかけたとき、マリエさんに止められました。

「家族が揃う日のために買うの?それって、毎日使う?」
言われてみれば、家族全員でお茶を飲む場面は特別な日に近い。日々お茶を淹れるのは、母と2人のとき、花菜と2人のとき。6人用を毎日棚から出すことは、たぶんない。
店員さんも「大きいセットは割れたときのダメージも大きい」と正直に言ってくれて、2人用(NT$2,020)に変更しました。帰国後、毎日使っています。
💡 マリエさんの茶器選びの基準
「毎日出せるサイズかどうか。出すのが面倒になったら、どんなに好きなデザインでも使わなくなる。雑貨は使われてこそ意味がある」

実際に購入したもの
- 缶入り東方美人茶(50g):NT$480(約2,210円)
- 缶入り凍頂烏龍茶(50g):NT$420(約1,930円)
- デザイン缶入り高山茶(50g):NT$550(約2,530円)
- 作家物の磁器茶器セット(急須+茶杯2個):NT$2,020(約9,290円)

茶器・茶葉の合計:NT$3,470(約15,960円)
店を出るとき「また来てください」と送り出してくれた店員さんの顔が今でも忘れられません。買い物というより、台湾茶文化の入口に立った1時間でした。
嶢陽茶行|行く前に知っておきたいこと
🕙 午前中に行くこと:10時台なら店員さんがじっくり付き合ってくれます。
🫖 最初に「何人で、どんな場面で使うか」を伝える:それだけで提案が変わります。
📦 茶器はその場で梱包をお願いする:スーツケースでは中央に置いて衣類で二重に。
[台南・大天后宮で感じた台湾信仰文化|媽祖廟と暮らしのリアルな交差点]
赤峰街・礼拝文房具|「素材と用途が一致している店」とマリエさんが言った理由
礼拝文房具(Tools to Liveby)に入った瞬間、マリエさんが小さく「いい店」とつぶやきました。

「棚の高さと商品のサイズが合ってる。ちゃんと考えて作られた空間ね」。
空間デザイナーの目には、棚一つでその店の哲学が読めるのだと知りました。
「日本に帰って本当に使うものだけ」という基準
どれも素敵で、全部欲しくなりました。そのときマリエさんが「日本に帰ってから毎日使うイメージができるもの以外は置いていく」と言いました。シンプルですが、これが一番効きました。
真鍮製のクリップを手に取ると、マリエさんが教えてくれました。使い込むと色が変わって愛着になること、重さがあるほうが書類がしっかり留まること。言われてみればそうです。でも自分では気づかなかった。

「消耗品じゃなく道具として選ぶなら、真鍮はいい」
実際に購入したもの
- オリジナル真鍮クリップ(S・M各1個):NT$190(約875円)
- 海外セレクト方眼ノート(A5サイズ):NT$220(約1,010円)
- イタリア製ボールペン:NT$135(約620円)
💡 マリエさんの文房具の選び方
「紙質を確認したいなら、光に透かして見る。万年筆を使う人は特に。あとノートは表紙の厚みも大事。薄いと立って書けない」こんなこと、ネットには書いてありません。
文房具の合計:NT$545(約2,510円)
礼拝文房具を出たあと、マリエさんが「長く使えるものを選ぶと、使うたびに気分がいい。それが毎日をちょっとよくする」と言いました。帰国後、毎朝そのノートを開くたびに思い出します。
礼拝文房具|行く前に知っておきたいこと
📖 ノートは光に透かして紙質を確認する
✏️ 「毎日使うシーン」を決めてから入ること。
🪙 小さい店なので現金を用意していくこと
赤峰街・雲彩軒|一度見送って、翌日また戻った話
ウィンドウの中に、翡翠色の天然石に刺繍が施されたピアスがありました。一目で気に入ったのですが、値段(NT$580)を見て迷い始め、その場を離れました。
マリエさんは「似合うと思う。顔まわりに主張しすぎないサイズ感がいい」と言ってくれたけれど、高いかなぁと言い訳しながらその場を離れました。夜になってもそのピアスのことが頭から離れず、翌朝マリエさんに話してみました。

「それ、買った方が良いと思うわ。一晩経ってもまだ欲しいなら、本物の欲しいだから」
翌日、また戻って買いました。今では週に2回は着けています。

💡 マリエさんの「衝動買いしない」方法
「迷ったらいったん離れる。一晩経ってもまだ欲しければ買う。それだけ。その基準で買ったものは後悔したことがない」
雲彩軒|行く前に知っておきたいこと
📸 気に入ったものは写真を撮って、一晩置く
翌日また来られる距離です。ホテルで見返して「まだ欲しい」なら買いに行く。それだけで後悔がなくなります。
🔍 奥まで必ず見ること
マリエさんに引っ張られて奥に行って初めて、本当にいいものが並んでいると気づきました。
🤲 天然石は外の光で確認する
一つ一つ色みが違います。店内と外では見え方が全然違うので、気に入ったものは外に持ち出して確認を。店員さんも快く対応してくれました。
台湾エコバッグ|マリエさんが生地を触って即決した理由
迪化街でエコバッグを見ていたとき、マリエさんがいくつか手に取って生地を引っ張り始めました。「これじゃない。すぐヨレる」「これも違う」と次々に戻していきます。
そして台北101柄のエコバッグ(NT$180)を持って「これはいい。生地に張りがある。何度洗っても形が崩れないタイプ」とひとこと。
私にはどれも同じに見えていましたが、生地の引っ張り方で劣化のしやすさが分かるとマリエさんに教えてもらいました。帰国後「どこで買ったの?」とよく聞かれます。

💡 エコバッグの選び方(マリエさん直伝)
「生地の端を両手で持って軽く引っ張る。すぐ伸びるものは洗うと歪む。引っ張っても戻ってくる生地は丈夫」これ、現地で試してみてください。全然違います。
実際に購入したもの
台北101柄エコバッグ:NT$180(約830円)/生地に張りがあって丈夫。毎週スーパーに持っていっています。
パイナップルケーキ柄ミニバッグ:NT$130(約600円)/ランチバッグとして活躍中。
3日間でいくら使った?
総額はNT$5,415(約24,900円)でした。
茶器・茶葉:NT$3,470(約15,960円)
文房具・雑貨:NT$545(約2,510円)
アクセサリー:NT$580(約2,670円)
カフェ代:NT$310(約1,425円)
エコバッグ:NT$310(約1,425円)
交通費:約NT$200(約920円)

台北、朝一ではフルーツもふんだんにあって、ホテルの部屋で贅沢に食べてました
まとめ|マリエさんと歩いた台北で、買い物の仕方が変わった
でも最終的に「買う」と決めたのは、全部自分でした。マリエさんがしてくれたのは、私が気づいていなかった視点を見せてくれることだった。サイズ、素材、使う場面。その見方は、日本に帰ってからの日常でも使えます。
旅先では「せっかくだから」と手が伸びやすい。でもマリエさんと歩いて身についたのは、買う前に「日本に帰ってから、本当に使うか」とひと呼吸おくこと。それだけで、選ぶものが変わりました。
マリエさんが「また台北行こうよ」と言いました。私はすでに次の旅を考えています。


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