台北の街を歩いていると、ふと薬草の香りが漂ってきます。それは台湾の人々の暮らしに根付く「養生(ようじょう)」文化の証です。
この記事では、観光での火照りを鎮める「涼茶」や、冷房で乾燥した喉を潤す「青草茶」など、旅のシーンに合わせたハーブドリンクの選び方を解説します。初めての方でも安心して立ち寄れる人気店のレポートや、注文のコツも詳しくまとめました。
自分をいたわる台湾流のセルフケアを取り入れて、旅のコンディションを心地よく整えてみませんか。
台湾のハーブドリンク文化とは?「養生」が溶け込む暮らし
台湾では、「養生=自分をいたわる暮らし方」という考え方が、今も生活の中に息づいています。
街角のスタンドで涼茶や青草茶、仙草茶が日常的に選ばれているのは、「なんとなく体が重い」「喉がいがいがする」といった小さな不調を、そのままにせず整えていく感覚に近いように思えました。
薬を飲むほどではないけれど、少し気になる、そんなときに一杯のドリンクを選ぶことが、無理のないセルフケアとして暮らしに溶け込んでいる印象です。
「涼茶」と「青草茶」について
台湾で「涼茶(リャンチャー)」と言うと、多くの場合は青草茶と同じ薬草系の冷茶を指します。青草茶は「涼茶」「苦茶」「百草茶」とも呼ばれ、いわば”台湾人にとっての青草茶”は”広東の人にとっての(広東)涼茶”にあたる存在です。
菊花や甘草を効かせたすっきり系の「涼茶」は、どちらかというと広東・香港系のスタイルに近い一杯。この記事では飲み比べやすいように2タイプに分けていますが、「別々の伝統というより、同じ養生ドリンクの仲間」とゆるく捉えていただければと思います。
ここでは、私が実際に台北で体験した「癒やしの一杯」たちをご紹介します。
涼茶(リャンチャー)— 太陽の下で歩いた後のクールダウンに
涼茶は、菊花や薄荷(ミント)、甘草などを煮出して作られる、すっきり系のハーブドリンク。蒸し暑い台北の午後、アスファルトの照り返しの中を歩いたあとに飲むと、驚くほどスッキリします。
初めて飲んだときは独特の苦味に少し身構えましたが、二口、三口と進むうちに、鼻に抜ける爽やかな香りが心地よくなっていきました。飲み終わる頃には口の中が軽くなり、頭の重さがスッと抜けていくような、不思議なリフレッシュ感を味わえました。

(台北の街歩きで出会った、透き通った黄金色の涼茶)
- 日差しの強い中、長く外を歩いたあとの休憩に
- 湿度が高く、体がなんだか重だるいと感じる日
- 気分をシャキッと切り替えて、次の観光地へ向かいたい時
青草茶(チンツァオチャー)— 喉を優しく潤したいときに
青草茶は複数の薬草をブレンドしたもので、現地では「涼茶よりも少しマイルドで飲みやすい」と言われています。冷房が効いたMRT(地下鉄)と、蒸し暑い外を行き来する台湾の旅では、意外と喉に負担がかかるものです。
そんな時に出会ったのがこの一杯でした。見た目は真っ黒で「薬」のようですが、微糖(ウェイタン)で注文すると、日本の麦茶に少しハーブを足したような親しみやすい味になります。
冷房で乾燥してイガイガしていた喉を、潤いのベールが優しく包んでくれるような心地よさがありました。ちなみに青草茶は、体の熱をやさしく冷ますお茶ともいわれています。冷えが気になる方や、たくさん歩いて疲れた日は、飲みすぎず一杯を味わうくらいがちょうどよさそうです。
- ショッピングモールや電車の冷房で、喉が乾燥してしまった時
- おしゃべりに夢中になって、声が少し出しにくいと感じる夕暮れ
- ハーブティー特有の「苦味」が少し苦手だけど挑戦してみたい時
💬 マリエさん(今回一緒に旅した友人)
「スーッとして気持ちいいね。日本のミントティーより深みがあって、歩き疲れにちょうどいい!」
仙草ゼリー・仙草茶 — 食べ歩き後の軽やかなリセット
台湾スイーツの定番でもある「仙草」は、ほのかな苦味と優しい甘みが特徴のハーブです。夜市で揚げ物や味の濃いグルメを楽しんだあと、「お腹を少し休ませたいな」と思った時に選んでみました。
仙草ゼリーはデザート感覚で、温かい仙草茶は「甘いものは欲しいけれど、重いものは避けたい」というワガママな気分にぴったり。一口飲むと、夜市の熱気で少し疲れていたお腹の中が、スッと穏やかに整っていくのを感じました。
そんな仙草は、夜市の屋台や「豆花(トウファ)」のお店で気軽に味わえます。トッピングを選べるお店も多いので、食べ歩きの締めにぜひ探してみてください。

(夜市歩きの後に楽しんだ、喉ごしの良い仙草ゼリー)
- 夜市巡りで美味しいものを食べすぎて、少しお腹を労わりたい時
- 喉が渇いているけれど、甘すぎる炭酸飲料などは控えたい時
- 旅の疲れで火照った体を、内側から穏やかにリフレッシュしたい時
紅棗・桂圓茶 — 冷えた心と体を温める、夜のご褒美
建物内の強力な冷房や、夜に向かって下がっていく気温差で、いつの間にか指先がひんやり。そんな場面で私を助けてくれたのが、紅棗(なつめ)と桂圓(ロンガン)を煮出した温かい漢方茶でした。
なつめの自然な甘みがじんわりと体に染み渡り、一口ごとに強張っていた肩の力が抜けていくような気がしました。「今日はよく歩いたな」と感じる夜、自分を労わる一杯として自然と手が伸びます。
果実の柔らかな甘みは、心までポカポカと解きほぐしてくれる感覚があります。
初めてでも安心!台北のおすすめハーブドリンクスタンド3選
ここでは、実際に足を運んだお店に加えて、「次の台湾で必ず訪れたい」と思っている注目店もあわせてご紹介します。

(地元の人で賑わう、台北のハーブドリンクスタンド)
百草園青草茶専売店|初心者向けの飲みやすさが魅力
MRT南京復興駅から歩いて8分ほど、遼寧街の路地裏にあるこのお店は、レトロな店内に整然と並ぶ薬草瓶が印象的です。ここの青草茶は、見た目の黒さに反して味が非常にまろやか!
「微糖」を選ぶと、ハーブの香りがほどよく立ち、ゴクゴク飲める爽やかさ。初めてのハーブドリンクデビューに、これ以上ないほど安心できる場所だと感じました。
・MRT南京復興駅から徒歩約8分(遼寧街の圓環近く)
・住所:台北市中山區龍江路21巷34號
・特徴:苦味が少なく、微糖・無糖の調整が可能。試飲もでき、初めてでも入りやすい。
車椅子・シニアへのポイント 店先はフラットで車椅子でもスムーズに注文できます。店内に座って休めるスペースはありませんが、注文してすぐ受け取れるため、近くのベンチなどで休憩しながら楽しむのがおすすめです。
姚徳和青草号(迪化街)|レトロな問屋街で味わう本格の青草茶
迪化街で青草茶を味わうなら、永樂市場の向かいにある「姚徳和青草号」がおすすめです。創業70年以上の老舗で、2017年のリノベーションによって、木目を基調とした温かみのあるモダンな空間に生まれ変わりました。店内の壁には青草茶に使われる薬草が名前や効能とともに並び、青草茶の奥深い世界を感じられるのが魅力です。
看板メニューの青草茶は、ほのかな甘みとミントのような爽やかな後味で、初めての方でも飲みやすいと評判。もう少し骨太な味に挑戦したいなら、しっかりとした苦味のあとにすっきり感が広がる「苦茶」や、果肉入りでデザート感覚の「蘆薈茶(アロエ茶)」も選べます。迪化街の散策途中、カフェスペースでひと息つく休憩スポットとしてもぴったりです。
・MRT北門駅から徒歩約10分/永樂市場の向かい(台北霞海城隍廟から徒歩約1分)
・住所:台北市大同區民樂街55號
・特徴:青草茶は甘み・爽やかさがあり初心者向き。苦茶やアロエ茶も。1杯20〜30元と手頃で、ティーバッグや薬草の入浴剤はお土産にも。
車椅子・シニアへのポイント :店内にカフェスペースがあり、腰を下ろして休みながらお茶を楽しめるのがシニアの方に嬉しいポイント。迪化街散策の合間の足休めにもぴったりの、落ち着いた空間です。
老濟安 Healing Herbar(西門)|モダンな空間で味わう、体質に合わせた一杯
もともと龍山寺わきの「青草巷」にあった老舗の青草店が、三代目の手でスタイリッシュなハーブティーショップに生まれ変わったお店です。数百種類のハーブが並ぶ洗練された空間で、扉を開けた瞬間に薬草の豊かな香りに包まれます。
魅力は、体調や体質に合わせて一杯を仕立ててくれるカスタムハーブティー。問診票に答えると、その人に合った薬草茶をハンドドリップで淹れてくれます。こうしたスタイルは日本ではほとんどお目にかかれないこともあり、今回の台湾でLulucoがずっと訪れてみたかったお店のひとつでした。
苦味を抑えた飲みやすいブレンドが多いので、身構えていく必要はまったくありません。温かいお茶が中心で、冷房で冷えた体をやさしく整えたいときにもぴったり。タピオカとはまた違う「体に優しい一杯」を味わえる、養生を日常に取り入れてみたい人にこそおすすめのお店です。
・MRT西門駅から徒歩約10分
・住所:台北市萬華區西昌街84號
・特徴:体質に合わせたカスタムハーブティーが名物。苦味控えめで初心者向き。ティーバッグはお土産にも。
💡車椅子・シニアへのポイント カウンターに腰を下ろし、座ってゆっくり一杯を味わえるのがシニアの方にも嬉しいスタイルです。ただしカウンター中心のこぢんまりとした空間のため、車椅子での入店可否や店内の広さは、事前にお店へ確認しておくと安心です。
安心のためのアドバイス:ハーブドリンクを楽しむコツ
台湾のハーブドリンクは自然の恵みですが、より楽しく、安心して体験するために知っておきたいポイントをまとめました。
初めての方は「微糖(ウェイタン)」にすると苦味が和らぎ、飲みやすさが劇的にアップします。
「少氷(シャオビン)」と伝えることで、胃腸への負担を抑えながらハーブの成分をゆっくり楽しめます。
青草茶などは体を冷やすともいわれるため、冷えが気になる日は温かいタイプを選ぶのもおすすめ。妊娠中や授乳中、持病をお持ちの方は作用を強く感じる場合もあるので、まずは少量から試すと安心です。
まとめ — 台北の街で、一杯のドリンクに癒される幸せ
台湾のハーブティー文化は、旅と日常のリズムをやさしく調律してくれる、温かな魔法のようです。蒸し暑い午後のリフレッシュも、冷房で疲れた体のケアも、一杯のドリンクがそっと寄り添ってくれます。
台湾の街を歩いていると、市民の「自分自身を労る」健康意識の高さには驚かされます。コンビニには健康ドリンクや玄米商品が豊富に並び、若い世代でも健康を意識した飲み物や食べ物を日常的に取り入れているのです。
台北の街で「少し自分を整えたいな」と感じたら、ぜひその日いちばん心地よいと感じる香りのスタンドへ足を運んでみてください。ストローから伝わるハーブの優しさが、あなたの旅をより鮮やかで、穏やかなものにしてくれるはずです。
※本記事は筆者の体験や取材時点の情報をもとに書いています(一部、公開情報をもとに紹介しているお店も含みます)。料金・営業時間・各種サービス内容は変更される場合があります。


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