20年前、まだスマホがなかった頃。私は台湾を旅するたびに、分厚い地図と会話帳をカバンに詰め込み、指差しで乗り切る不器用な冒険をしていました。あの頃の緊張とワクワクが、今でも心に残っています。
でも今や、あの“必需品”たちはすべてスマホの中に。台湾ではキャッシュレスや交通、グルメ情報までもがアプリで完結し、「日本より便利かも?」と驚くこともしばしば。そんな背景もあって、今回の旅は──出発前夜、娘の花菜と“アプリ作戦会議”から始まりました。
出発前夜|親子でアプリ作戦会議
台湾旅行の準備は、荷物を詰めるだけでは終わりません。初めての街や久しぶりの場所では、事前の情報設計が当日の快適さを大きく左右します。
今回は在住の友人に聞いた“本当に使える”アプリを洗い出し、インストールと初期設定まで前夜に完了させました。現地で迷わず、困ってから調べる時間を減らせます。
友人から聞いた“ガチ便利アプリ”
アイコンが並ぶ画面を親子で覗き込むと、不思議と肩の力が抜けて、「これで迷わないね」と微笑み合えました。

「ママ、台湾ってどんなアプリが便利なの?旅行中に迷ったら困るし…!」

「現地では、日本みたいに全部英語表記じゃないこともあるしね。今回は在住の知り合いに教えてもらった”ガチ便利アプリ”を使って、安心して旅しよう!」
友人いわく「地図/交通/翻訳/決済/グルメの5ジャンルを押さえれば、旅の不安はほぼ解消」です。この記事では、その5つを体験談と一緒に絞って紹介します。使い方は最短ルートで理解→すぐ実践できる形にまとめています。
【交通編】Googleマップ × 台北捷運Go
初日から確実に役立つのが交通系。台北は路地が入り組み、MRT路線も多いので、徒歩ナビはGoogleマップ、路線情報は台北捷運Goと役割分担します。
Googleマップ|細い路地も迷わずスイスイ
永康街の小籠包店へ向かうときも、徒歩モードで向きが即わかるので迷いませんでした。市内散策はこれ一択という安心感があります。
また、オフライン地図を事前DLしておくと、電波が弱い場面でも基本の道案内はこなせます。角を曲がるたび、青い現在地の点が小さく背中を押してくれる──そんな心強さがありました。
台北捷運Go|乗り換えや混雑状況も一目でわかる
台北MRT公式アプリは、出発駅と到着駅を入れるだけで最適ルート/運賃/混雑が一目で把握できます。ホテルから台北101へも迷わず移動できました。
エレベーターの位置などバリアフリー情報も見られるため、スーツケースやベビーカー連れでも動線計画が立てやすいです。ホームに流れ込む風と線路の匂、乗り換えに焦らないだけで、道中の会話が少し弾みます。

「淡水信義線に乗って、信義安和駅で降りるだけだね」
【マップ編】オフラインで安心「MAPS.ME」
市内はGoogleマップで充分ですが、郊外や山間部は電波が弱いこともあります。そこでMAPS.MEの出番です。事前に台湾の地図をDLしておけば、電波なしでも現在地が分かります。
電波がなくても現在地がわかる
九份観光中、坂道で通信が途切れても、MAPS.MEは現在地と周辺情報をオフライン表示させます。入り組んだ小道も「もう一本奥の道だ」とすぐ判断でき、迷わず到着できました。
口コミや営業時間が見られる場合もあり、急な予定変更にも対応できます。九份の石畳に当たる雨粒。画面の矢印が「大丈夫」と囁くみたいで、足取りが軽くなりました。

「ちゃんと今いる場所が表示されてる!」

「凄いね、これお友達から事前に台湾全体の地図データをダウンロードしておくと良いよと言われていたから、やっておいて良かったね!」
【翻訳編】LINE翻訳+Google翻訳
観光地を離れると日本語が通じにくい場面が増えます。**会話はLINE翻訳、看板やメニューはGoogle翻訳(カメラ)**という使い分けで不安が一気に減ります。
この章では「いつ・どれを使うか」と「30秒でできる初期設定」だけを先に押さえます。
いつ・どれを使うか(迷ったらこの基準)
- 店員さんとの短いやり取り・値段確認:LINE翻訳(入力→見せる/読み上げ)
- メニュー・看板・貼り紙:Google翻訳(カメラで即時翻訳)
- まとまった文章/コピーテキスト:Google翻訳(テキスト貼り付け)
- 通信が不安:Google翻訳のオフライン言語(中国語・繁体)を事前DL
伝わった瞬間に、相手の笑顔がこちらの記憶になる。言葉の橋は、思ったよりも近くにかかっています。
30秒でできる初期設定(iPhone/Android共通)
① LINEの検索で「通訳」→中国語(繁)通訳を追加
② トークを開き、日本語→中国語(繁体)に設定
③ よく使うフレーズ(例:これはいくらですか?)を下書き
出発前夜の30秒が、現地での30分を助けてくれる──それだけで旅に余白が生まれます。
Google翻訳|看板やメニューの翻訳に便利
Google翻訳はカメラをかざすだけで文字を瞬時に翻訳してくれます。ローカル食堂や市場でのメニュー選びにも重宝しました。特に漢字が似ていても意味が違う食材の判別に助かります。
② 画面下のカメラをタップ(看板・メニューをかざすだけ)
③ 右上メニュー → オフライン翻訳 → 中国語(繁体)をダウンロード(推奨)
士林夜市で実感した“即伝わる”体験
士林夜市の雑貨店で、花菜が見つけたイヤリングの値段を知りたがったとき、LINE翻訳に「このイヤリングはいくらですか?」と入力し、繁体字に変換して見せました。
すると店員さんが笑顔で「這個300元喔!」。一瞬でコミュニケーションが成立しました。たった一言で、にぎやかな夜市が“知っている街”に変わるーその距離の縮まり方が心地よかったです。
【決済編】街口支付(JKOPay)
支払いの待ち時間と小銭の出し入れを減らすと、旅は一気にスムーズになります。特にJKOPayは屋台や小さな個人店での対応が多く、コンビニで即チャージ→QR決済で会計が10秒台に短縮できます。
小銭いらずでスムーズ決済
永康街の雑貨店で「JKOPay使えますか?」と聞くと笑顔で「もちろん」と返ってきました。店頭のQRを読み取り、金額を確認して支払いは約10秒で完了です。
夜市でも財布を出さずに買い物が進みます。チャージはコンビニやATMから可能。店先には赤い**「JKOPay」マーク**が目印です。小銭を数える時間が減った分、次は何を食べようかと娘と相談する時間が増えました。

「財布に残っていた小銭も全てコンビニでチャージしてくれた!便利だわー!」
JKOPayのポイント(旅行者向け)
会計の速さは、せかすためじゃなく“余白”を作るため。小さな余裕が、旅のやさしさになります。
- 小さなお店・夜市でも使える:現金いらずで買い食いがスムーズ
- チャージが簡単:コンビニで「街口チャージ」と伝えるだけ
- 履歴が即確認:金額と時間が自動記録されて管理がラク
- 手数料なし:支払い時の追加料金ゼロで安心
ここに注意
日本のクレジットカードは原則登録不可です。**旅行者は「現地SIM+チャージ式カード」**の併用がスムーズです。
使い方(最短手順)
「付款成功!」のポップアップが出るたびに、今日のご褒美をひとつ受け取った気分になりました。
② 店頭QRを読み取り、金額を確認
③ 支払うをタップ → 「付款成功!」で完了
【グルメ編】iPeen(愛評網)
せっかくなら、観光地価格のお店だけでなく地元の人が通う店にも行きたいもの。iPeenは現地の写真付きレビューが多く、初めての店選びでも失敗が減ります。
口コミで隠れた名店を発見
永康街の路地裏で、**「八角が香る×温かな接客」という評価を見て入店。魯肉飯は期待どおりで、店内は地元客で賑わっていました。“レビューで背中を押されて一歩踏み込む”**のが正解だと実感します。
湯気の向こうから「慢慢吃(ゆっくり食べてね)」の声。器を手にした瞬間、旅の温度が少し上がりました。
iPeenの強み
画面の言葉は冷たく見えて、実は案内の手。レビューの一行が、偶然の一皿へそっと導いてくれました。
- 星評価だけじゃなく、写真付きレビューも豊富
- 人気店だけでなく、地元密着の小さなお店の情報もたくさん
- 「味」「サービス」「コスパ」などジャンル別評価あり
まとめ|アプリで旅はもっと自由に
便利さは、急ぐためではなく“心に余白を作るため”。その余白に、景色の色と家族の会話が入ってきます。紙の地図と会話帳で歩いていた時代から、今は**スマホ1台で「迷わない・伝わる・払える・選べる」**時代になりました。
今回の旅でも、交通=迷わない/翻訳=伝わる/決済=早い/グルメ=失敗しないがそろうことで、気持ちと時間に余裕が生まれました。
「困ったらアプリがある」という安心感が、旅の自由度と発見を確実に広げてくれます。次に台北を歩くときも、この小さな味方たちと一緒に。きっとまた、新しいやさしさに出会えます。
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