「息子と二人きりで、どこか心が洗われるような場所に行きたい」——そんな思いから、台湾・南期末試験を終えた息子の「静かな森でリフレッシュしたい」という一言から、私たちは台湾・南投の溪頭森林遊楽区(シートウ)を訪れました。
日常ではなかなか持てない、親子で自然を感じる特別な時間ー標高約1,100mに広がる原生林の森で、会話も沈黙も心に残る一日を過ごしました。
SNSで見て憧れていた景色は、想像を超える迫力と静けさ。観光以上に、親子の心の距離を近づけてくれた旅をご紹介します。
台湾・溪頭森林遊楽区とは?|原生林ハイキングの魅力
溪頭森林遊楽区は、台中や南投からの観光客だけでなく、地元の人々にも人気の森です。多様な植物や苔に覆われた道、天を突くように伸びる杉の木など、都会では味わえない自然が広がっています。
苔のじゅうたんと杉の大木に包まれて
森の入口に立った瞬間、息子と私は顔を見合わせて「空気が全然違うね!」と声を上げました。ひんやりとした空気と木々の香りは、私たちの体をすっと浄化してくれるようでした。
特に印象的だったのは、足元一面に広がる苔のじゅうたんー息子が「天然のじゅうたんだよ!」と無邪気に触れていた姿が忘れられません。
森を見上げると、何十メートルもある杉の大木がそびえ立ち、立ち止まる時間さえ特別に感じられました。

「凄いな、木が空に届いてるみたいだね!」
親子で歩く!溪頭ハイキングルートと見どころ
この森林公園には初心者向けから本格派までさまざまなトレイルが整備されています。今回私たちが歩いたのは、親子で無理なく楽しめる「沿溪歩道」です。短時間でも森の魅力を存分に味わえるルートです。
沿溪歩道で出会う森の住人たち
霧がかった林道を歩き始めると、鳥の声や小動物の気配がすぐに出迎えてくれました。リスが木から木へ駆け抜け、青い羽を持つ野鳥が目の前を横切る——まるで森の住人たちが歓迎してくれているかのようです。
苔の上に腰を下ろし小休憩をすると、普段はスマホばかりの息子も自然に夢中になっていました。親子で自然に没頭できる貴重なひとときでした。
苔の香りや湿った空気は、まるで森そのものが呼吸しているようで、深く息を吸い込むたびに心がリセットされていくようでした。
歩きながら耳を澄ませば、小さな枝のきしみや鳥の羽ばたきまで聞こえ、都会では気づかない生命の営みに包まれているのを実感しました。
森のお茶と、静けさがくれた親子時間
歩き疲れたときに見つけたのが、大学池のほとりに佇む「魔法ハーブカフェ」です。森歩きの休憩にぴったりの隠れ家のような存在です。
魔法ハーブカフェでひと休み
2階のテラス席に腰を下ろすと、目の前には緑に包まれた絶景が広がりました。地元産のハーブティーを注文し、湯気の立つカップを手にしながら景色を眺めると、まるで森の中に浮かんでいるようです。
息子の「こういう時間、久しぶりだね」と、普段は口にしない言葉を発した瞬間、私も心がほどけていくのを感じました。
「自然って、生きてるんだね」
トレイルを歩く途中、木漏れ日が差し込む道で立ち止まった息子が空を見上げました。その表情から伝わったのは、森そのものへの畏敬の気持ちでした。

「お母さん、森って生きてるみたいだね」
森の呼吸を感じる瞬間
その言葉を交わした瞬間、森の空気がふっと近づいてきた気がしました。木々のざわめきや鳥の声が、まるで親子の会話に応えるように重なり合い、静かに私たちを包み込みます。
日常では見過ごしてしまう小さな気配が、この森ではひとつひとつ鮮明に響き、心に深く刻まれていくのを感じました。

「森って生きてるみたいだね」

「そうだね……私たちと一緒に息してるんだね」
森はただの風景ではなく、私たちに語りかける存在なのだと気づかされます。
その瞬間、旅は観光を超えた“心の体験”へと変わっていきました。
渓頭森林遊楽区|基本情報とアクセス・施設案内
旅を計画するうえで、アクセスや園内設備の基本情報は欠かせません。まずは、溪頭森林遊楽区がどんな場所なのかを簡単に紹介します。
ここは観光地でありながら自然保護区でもあり、整備が行き届いていて安心して散策できます。
春の新緑、夏の涼しさ、秋の紅葉、冬の霧──季節ごとに違った森の表情が楽しめるのも魅力です。
訪れる時間帯によっても雰囲気が変わり、朝は澄んだ空気、昼は木漏れ日、夕方は影が深まる幻想的な森に包まれます。旅の計画では、こうした季節や時間帯の「森の顔」を意識すると、より充実した体験ができます。
渓頭森林遊楽区ってどんな場所?
所在地は台湾・南投県鹿谷郷。面積は約2,500ヘクタールで、海抜は1,150mです。台湾大学の実験林として教育や研究の場にもなっています。園内には整備された遊歩道が多く、初心者や子連れでも安心して歩けます。
台北からの行き方(公共交通利用)
台北駅から新幹線で台中駅へ(約1時間)、その後、南投客運バスで溪頭まで、所用時間は約2時間です。本数は限られているため、事前に時刻表を確認しておくことが大切です。
週末は運行時間が変わる場合もあるので注意しましょう。
準備してよかった!持ち物・服装のポイント
森歩きをより快適に楽しむために、事前準備が大切です。以下は実際に役立った持ち物リストです。
🧳 渓頭森林遊楽区ハイキング|持ち物リスト&理由
- 歩きやすいスニーカー・登山靴:
舗装道はありますが、滑りやすい場所もあり安全のために必須。 - 防寒具(11〜3月):
朝晩は冷えることも。脱ぎ着できる重ね着スタイルがおすすめ。 - 雨具(レインコート推奨):
山の天気は変わりやすく、傘より動きやすいレインコートが◎。 - 水筒・軽食:
敷地内のカフェや売店は少ないため、持参すると安心。 - 虫よけスプレー:
森の中では蚊やブヨが多いため、肌を守るために必須。 - Lulucoの一言
- 大学池のそばにある小さな2階建てのカフェ。地元産ハーブティーやお茶うけスイーツがあり、森を見下ろす眺めはまさに特等席でした。静かな時間を過ごせます。
小さな子や年配者でも歩ける?
険しいコースを避ければ比較的なだらかな道が多く、休憩所も充実しています。小さなお子さんや年配の方も無理せず楽しめます。ベビーカーは一部の舗装路で利用可能です。
入場料と営業時間
最後に気になる料金と営業時間です。旅行の計画を立てる際の参考にしてください。
🎫 渓頭森林遊楽区|入園料・営業時間
入園料 | 一般:200元(約950円) 6〜12歳、65歳以上:150元 ※未就学児無料 |
営業時間 | 8:00〜17:00(最終入園16:00) |
休園日 | 年中無休(台風や土砂崩れ時は臨時閉園あり) |
まとめ|森の静けさが教えてくれたこと
溪頭森林遊楽区で過ごした一日は、親子で“自然の声”に耳を澄ませる特別な時間でした。忙しい日常の中で忘れがちな静けさや自然の存在に気づき、心が癒されました。
息子が「また来たいね」と言ってくれた一言が、この旅を象徴しています。旅を振り返ると、印象に残っているのは大きな観光名所ではなく、森の中で息子が見せた表情や言葉でした。
自然と向き合うことで心の奥が解き放たれ、何気ない一瞬が大切な思い出へと変わっていく——そんな体験ができるのも溪頭森林遊楽区ならではの魅力だと思います。
自然のリズムに身を委ねる体験を、ぜひ一度味わってみてください。
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