台湾北部に位置する基隆・和平島は、海の絶景と港町の温もりを一度に味わえる特別な場所です。
今回は、母と二人の子どもという家族3人で、この地を一日かけて巡りました。
行く先々で出会うのは、自然が長い年月をかけて作り上げた景観と、人々の優しい笑顔です。ガイドブックだけでは分からない、現地でしか感じられない空気をたっぷりお届けします。
また、観光の途中で役立った情報やアクセス方法、グルメスポットなども詳しくご紹介します。旅の臨場感と実用情報を織り交ぜながら、基隆・和平島の魅力を余すことなくお伝えします。
基隆・和平島とは?アクセスと概要
朝7時半、ホテルの部屋でコーヒーを淹れていると、娘の花菜が寝ぼけ眼で登場。窓から流れ込む台湾の爽やかな朝の空気に、今日が特別な一日になる予感がしました。
「なんで基隆に行くの?」と花菜が聞くと、息子のりゅうは「地質学的に面白い場所なんだよ。テレビで見て以来、ずっと行きたかった!」と目を輝かせます。こうして、家族3人の基隆・和平島観光が始まりました。
基隆は台北から電車で約45分の港町ー海鮮市場や歴史ある港湾、そして和平島公園の奇岩景観が有名です。自然と歴史が交差する観光スポットで、地質好きから写真愛好家まで幅広く人気があります。
台北から基隆・和平島への行き方(電車・バス)
台北から基隆までは鉄道で気軽に行けます。港町に着くと、駅前のバスに乗り換えてわずか15分で海に囲まれた和平島へ行けます。バス車内からは海や港の風景も楽しめ、移動時間も旅の一部になります。
・台北駅から電車で基隆駅まで約45分
・基隆駅前バス停から「101」または「102」で約15分
・降車は「和平島公園」バス停
・運賃:大人15元(ICカード可)
観光前に知っておきたい入場料と営業時間
出発前に確認しておくべきが開園時間と料金です。和平島公園は朝から営業しており、午前中は比較的空いています。午後になると観光客が増えるため、写真や散策をゆっくり楽しみたいなら早めの到着がおすすめです。
・入場料:大人80元、学生40元(身分証明提示)
・営業時間:8:00〜18:00(季節により変動)
・休園日:なし(荒天時は閉鎖あり)
基隆駅で感じた地元の温かさ
基隆駅に到着すると、港町らしい潮の香りが漂ってきます。駅前でバス停を探していると、地元のおじいさんが声をかけてくれました。
背後には、カモメの鳴き声と市場から聞こえる威勢のいい掛け声が混ざり合い、旅の始まりを告げるBGMのように響きます。港の風がスーツケースのタグを揺らし、少し湿った空気が肌に心地よくまとわりつきます。
初めての土地で、地元の人から差し伸べられる笑顔と声掛けは、何よりの安心感をくれます。その瞬間、「この町はきっといい旅になる」と心の中で確信しました。
道案内をしてくれたおじいさんとの心温まる交流
見知らぬ土地での最初の会話は、旅の印象を大きく左右します。おじいさんは優しい笑顔で「和平島はね、私の孫も大好きな場所なんだよ」と教えてくれ、スマホに保存された家族写真まで見せてくれました。
旅の始まりに嬉しいローカルとの出会い
花菜が「謝謝」とお礼を言うと、おじいさんの表情が柔らかくなり、そっと私たちの手を握ってくれました。

「日本から来たのかい?遠いところをよく来たね」

「謝謝您的幫助」

「你們的中文很好!(中国語が上手だね!)」
そう言いながら、港の方角を指差し、丁寧に道を教えてくれました。短い会話でしたが、その温かさが旅のスタートを明るくしてくれました。
和平島公園の見どころを歩く
バスを降りると、目の前に広がるのは透き通った青い海と、波音に包まれた小さな半島です。入口のゲートをくぐると、潮の香りがふわりと漂い、視界いっぱいに黄金色の岩肌が現れます。
遊歩道は海沿いをなぞるように続き、潮風が髪を揺らしながら、これから出会う景色への期待を高めてくれます。足を一歩踏み出すごとに、岩の形や色が変わり、まるで大地が長い年月をかけて描いたアート作品の中を歩いているようです。
「ここからどんな景色が待っているんだろう」──そんなワクワクを胸に、私たちは歩き始めました。
海蝕作用が作り出した奇岩群の魅力
園内に入ると、潮風と波音が迎えてくれます。足元には長い年月をかけて波が削り出した不思議な形の岩々です。近くで見ると模様や質感まで楽しめ、自然の芸術品に触れているような気持ちになります。
・波の浸食で生まれた奇岩群(女王の頭、千畳敷)
・岩肌のざらつきや温度も体感できる
・所要時間:約40〜60分
兄妹で学ぶ海岸トレイルの楽しみ方
花菜が「この岩、なんで穴があいてるの?」としゃがみ込むと、りゅうが「これは海蝕作用っていって…」と説明してくれました。昔は面倒がっていた兄も、今では丁寧に答える姿が頼もしく、兄妹の関係が大人のものに変わってきたと感じました。
女王の頭・千畳敷などの絶景ポイント
歩みを進めると、有名な「女王の頭」や「千畳敷」が目の前に広がります。黄金色の岩肌と青い海のコントラストは写真映え抜群です。天気が良ければ遠くの漁船まで見渡せます。
岩々がまるで大地の彫刻のように並び、自然が何万年もかけて作り上げた芸術を体感できます。潮風に包まれながらその光景を眺めていると、時間の流れさえゆるやかになっていくような感覚に浸れます。
海蝕洞での小さなハプニング
遊歩道を進むと、岩の影にひっそりと口を開ける暗い洞窟が現れました。入口からは涼しい潮風が吹き込み、奥の方からは波がぶつかる鈍い音が響いてきます。
足元は濡れた岩肌が光り、まるで自然が作った迷路のような雰囲気があります。近づくほどに外の明るさが遠のき、耳に届くのは自分たちの足音と水の反響だけです。
花菜が「ちょっと怖いかも…」とつぶやいたその瞬間、家族の空気が少しだけ引き締まりました。
好奇心と不安が入り混じる中、私たちはそっと洞窟の中へ足を踏み入れました。
暗い洞窟を家族で支え合いながら進む体験
海蝕洞の入口は暗く、足元も湿って滑りやすい場所です。花菜が「ちょっと怖い」と言うと、りゅうが「俺の後ろについてきて」と先導。洞窟内では波の音が反響し、まるで自然のコンサートホールのようでした。
海蝕洞の場所・所要時間・服装アドバイス
訪れる前に服装や持ち物を整えておくと、より安全に楽しめます。特に滑りやすい岩場では靴選びが重要。ライトを持って行くと安心感が増します。
・滑りやすいので運動靴がおすすめ
・洞内は暗いのでスマホライトが便利
・入口から奥まで片道約5分
奇岩景観での国際交流
海沿いの遊歩道を抜けると、視界いっぱいに広がるのは奇妙な形の岩々と、青くきらめく海が広がります。波が打ち寄せるたび、岩肌に白い飛沫が舞い、まるで自然が生きているかのように見えます。
その絶景を背景に、世界中から来た旅行者たちがカメラを構えていました。私たちのすぐ横でも、台湾の家族が笑顔で記念撮影をしていて、その様子がとても微笑ましいのです。
ふと目が合い、互いに軽く会釈をすると、不思議と距離が縮まったように感じました。ここでは言葉よりも景色と笑顔が、国境を越えて心をつないでくれるのです。
台湾の家族との写真交換と笑顔のつながり
同じ景色に「わあ!」と感嘆する表情は万国共通です。りゅうが「写真撮りましょうか?」と英語で声をかけ、お互いの家族写真を撮り合うと、笑顔の輪が広がりました。
言葉を超えて通じ合う瞬間の魅力
花菜と台湾の娘さんは身振り手振りで楽しそうに会話。言葉の壁を感じさせないやり取りに、旅先での人とのつながりの力を改めて実感しました。
和平島周辺のグルメ
海沿いを歩いた後は、潮風で少し冷えた体を温めるように、地元の食堂へ足が向きます。店先には今朝揚がったばかりの魚や貝が並び、湯気とともに漂う香りが食欲を誘います。
厨房からは中華鍋の軽快な音と、醤油やニンニクの香ばしい匂いが響き、旅の胃袋を刺激します。観光地価格ではなく、地元の人も通う店だからこそ味わえる、素朴で濃い旨味がここにはあります。
海を眺めながら食べる料理は、どんな高級レストランにも負けない贅沢な時間になりました。和平島のグルメは、景色と一緒に心と体を満たしてくれるもう一つの楽しみです。
地元食堂で味わう新鮮な魚料理
昼食は港町ならではの新鮮な魚料理。店主のおばあちゃんが「今朝獲れた魚よ」と笑顔で運んでくれ、その味は格別でした。塩加減や火加減が絶妙で、素材の旨味がしっかり感じられます。
おばあちゃんが教えてくれた「家族の時間」の大切さ
花菜が「すごくおいしい!」と言うと、おばあちゃんの顔がふわっとほころびました。「家族の時間は宝物よ」という言葉が、温かい空気とともに胸に残ります。
おすすめランチ時間と混雑回避のコツ
人気店は昼になると地元客でいっぱいになります。観光の合間に訪れるなら、少し早めに行くのがおすすめです。
・海鮮料理が名物
・1人100〜300元で新鮮な魚定食
・昼時は混むため、11時台が狙い目
基隆・和平島観光まとめ
一日の旅を終えて振り返ると、景色の美しさだけでなく、人との触れ合いがこの旅を特別なものにしてくれたと感じます。潮風に包まれながら歩いたトレイル、洞窟の中で響いた波の音、港町で味わった新鮮な魚の香り──どれも心に残る瞬間でした。
自然の造形美と港町ならではの温もりを同時に味わえるのが、基隆・和平島の大きな魅力です。これから訪れる方には、ぜひ早朝から足を運び、人混みの少ない時間にゆっくりと散策してほしいと思います。
アクセス・所要時間・おすすめ時期
旅の計画を立てるときは、移動時間やおすすめシーズンもチェックしておきましょう。春から初夏、そして秋は気候が穏やかで観光に最適です。
・アクセス:台北駅から電車45分+バス15分
・所要時間:半日〜1日
・おすすめ時期:春〜初夏、秋
観光モデルコース(半日〜1日プラン)
午前は基隆駅から和平島へ移動し、トレイルや海蝕洞を散策。午後は奇岩鑑賞と地元食堂でランチを楽しみ、最後に港町をぶらり散歩するのがおすすめです。
旅の感想とこれから訪れる人へのメッセージ
和平島の自然美や現地の人との触れ合いは、ガイドブックにはない特別な思い出をくれます。ぜひ、自分の足で歩き、あなただけの物語を見つけてください。
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