台北の街角を歩いていると、どこかから薬草の香りが漂ってきます。台湾には古くから“養生”という理念が根付き、ハーブを使った漢方ドリンクは今も身近な存在です。
暑さや湿度、強い冷房で体調が揺れやすい台湾では、地元の人も旅行者も、街角のスタンドでハーブドリンクを一杯飲んで体を整えています。そんなハーブティーは、気軽に楽しめる身近なローカル体験でもあります。
本記事では、台湾ならではのハーブドリンクの魅力や種類、人気店の選び方まで詳しく解説します。
台湾のハーブドリンク文化とは?
台湾では「養生=自分をいたわる暮らし方」が大切にされてきました。その文化が日常のハーブティーにも息づいています。
蒸し暑さや冷房の効いた屋内、油の多い料理など台湾特有の生活環境では、体調の細やかな変化に対応するハーブドリンクの習慣が自然に定着しました。
地元の人は季節や体調に合わせて涼茶・青草茶・仙草茶などを選んでケアしています。旅先でこそ気軽に自分の体調を調整できる、この現地流の“セルフケア”は、観光客にも心強い味方です。
湿度の高さや油の多い食文化、屋内外の温度差が大きい台湾では、身体を整える工夫が欠かせません。ハーブドリンクが根づいたのは、こうした環境に寄り添う土地の知恵です。
一杯で体が軽く感じられるのは、この暮らしと薬草文化が結びついているからです。
涼茶(リャンチャー)—体の熱をクールダウン
涼茶(リャンチャー)は、菊花、甘草、薄荷などを煮出して作る台湾伝統の薬草茶。体にたまった余分な熱を逃がすため、蒸し暑い季節や外歩きの後に地元の人がよく飲みます。
はじめは苦味が強く感じられますが、飲み終わるころには爽快な清涼感が残ります。夏場や体が重い時のリフレッシュにもおすすめです。
・蒸し暑い午後
・外を長く歩いたあと
・体が重い・だるいと感じるとき
※特に真夏の午後は、湿度で体温が上がりやすく熱抜きとしての効果が出やすい
青草茶(チンツァオチャー)—喉の乾きや声枯れに優しいハーブティー
青草茶(チンツァオチャー)は複数の薬草をブレンドして煮出す台湾の定番ハーブティー。特に冷房と外気のギャップが激しい台湾では、喉のケアに重宝されています。
苦味控えめですっきりとした飲み心地は、観光中の乾いた喉に心地よく広がります。声がかすれる日や移動の多いタイミングにぴったりです。
・冷房で喉がガラガラする
・声が出にくい
・乾燥が強い日に外を歩いた
※長時間の移動や観光で話す時間が多い日は、少量でも喉の負担をやわらげる

「スーッとして気持ちいいね。歩き疲れにちょうどいい」
仙草ゼリー/仙草茶—胃腸を整えて軽やかに
仙草(センソウ)は台湾夏の定番ハーブで、黒糖や生姜とのアレンジが人気の仙草ゼリーは、柔らかな食感とほのかな苦味が魅力です。
仙草茶として飲むと胃腸がすっきり整い、食べ歩きのあとや胃の重さが気になる時、そしてさっぱりした甘さを求める日にぴったりの一杯になります。
・食べ歩きが続いた
・ちょっと胃が重い
・甘いものが欲しいけど重いのは避けたい
※歩き疲れたときの“軽いリセット”にも最適。ひんやり感が身体の火照りを落ち着かせやすい
紅棗(なつめ)・桂圓(ロンガン)—体を温めるやさしい甘み
建物内の冷房や、夜の気温差で体が冷えるときにおすすめなのが紅棗と桂圓の温かい漢方茶です。やわらかい甘みが心身を芯から温めてくれるので、夕方の休憩や移動後のリフレッシュにも最適な一杯になります。
・冷房で身体が冷えやすい
・手足がひんやりする
・夕方以降の冷えが気になる
※夕方の気温差が大きい時期は、温かい一杯が体力の消耗を抑えてくれる
体調ニーズ別おすすめドリンク
台湾旅行で特によくある体調の悩みは「胃が重い」「喉が乾燥する」「体の熱っぽさ」。それぞれのニーズに合わせたおすすめドリンクを簡単にまとめます。
- 胃の重さに…仙草茶
- 喉の乾きやイガイガに…青草茶/羅漢果茶
- 体の熱っぽさに…涼茶
※この3種類をうまく使い分ければ、旅のコンディションも快適に整います。
はじめてでも安心!街中で買える人気スタンド
初めて台湾ハーブドリンクを試すなら、味のクセが強すぎず、立ち寄りやすいスタンドがおすすめです。
中山・迪化街・西門など、旅行者が歩きやすいエリアには「入りやすい・清潔・説明が丁寧」な店が多く、初めてでも安心です。
初心者でも安心のおすすめスタンド3選
はじめて台湾ハーブドリンクを飲むなら、クセが少なく入りやすい店舗がおすすめです。中山・迪化街・西門といった観光スポット周辺には「清潔感・説明の丁寧さ・ローカル客の利用率」の高いスタンドが多数あります。
初訪問でも安心して楽しめます。
①清潔感
②甘さ調整の有無
③ローカル客の利用率
青草茶舗(中山)|初心者向けの飲みやすさが魅力
中山駅近くの「青草茶舗」は、レトロな雰囲気と薬草瓶が印象的な店舗。まろやかな苦味で飲みやすく、初めての青草茶体験にもぴったりです。夕方、観光途中の休憩に選ぶ人が多い人気店です。
・MRT中山駅から徒歩3〜5分
・価格帯:40〜60元
・特徴:苦味控えめ・微糖にも対応
林華泰茶行(迪化街)|老舗で味わう本格涼茶
迪化街の老舗「林華泰茶行」には本格的な涼茶スタンドがあり、しっかりした苦味とスッキリした後味が楽しめます。お土産向けのティーバッグも販売しているので、旅行の記念にも◎
・MRT北門駅から徒歩6〜7分
・価格帯:40〜70元
・特徴:伝統的な涼茶・お土産用ティーバッグあり
康青龍(中山・西門)|カフェ感覚で楽しめる漢方ドリンク
康青龍(中山・西門)は木目調の店内に薬草の瓶が並ぶ人気カフェ型スタンド。フルーツや黒糖などを合わせた現代的なアレンジが豊富で、写真映えも抜群。初めてでも注文しやすい店です。
・価格帯:60〜90元
・特徴:フルーツ×ハーブの飲みやすいアレンジ・写真映え◎若者に人気
Luluco & マリエさんの旅エピソード
迪化街を歩いていた午後、湿度で身体が重く感じていたとき、通りのスタンドからふわりと薬草の香りが流れてきました。思わず足が止まり、その香りの方へ視線を向けると、マリエさんがぽつりとつぶやきました。

「この香り、落ち着くね。体が欲してる感じがする」

「涼茶って、飲むと気持ちまで軽くなるんだね」
短い寄り道でも、“旅が楽になる一杯”との出会いは心に残ります。
注意点(薬効の強さ・苦味について)
一部のハーブドリンクは作用が強いものもあるため、妊娠中・授乳中・持病がある方は、まず店員さんやスタッフに相談することをおすすめします。
台湾のスタンドは丁寧に説明してくれるお店が多く、不安な点も気軽に確認できます。
苦味の強いドリンクが心配な場合は、小サイズや甘さ控えめなど、自分に合う濃さを選べば旅の途中でも無理なく楽しめます。
まとめ—台湾ハーブドリンクで“旅の調律”を
台湾のハーブティー文化は、旅と日常の“調律”を助けるセルフケアの知恵です。気候や食文化による体の小さな不調も、喉・胃腸・体温調整まで状況に合わせて選べる多彩なドリンクで快適に整えられます。
街歩きの途中でも、香りや味わいがリフレッシュのきっかけに。台北の街で体が“ちょっと整いたい”と感じたら、その日一番心地よいハーブドリンクを選んでみてください。
新しい旅の思い出がきっと生まれます。
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