台北観光をたっぷり楽しんだあと、「次はどこへ行こうか?」、そんな何気ない一言から、この小さな旅は始まりました。 遠くへ行かなくても、少し足をのばすだけで、空気が変わる場所があります。
今回訪れたのは、台北から1〜2時間圏内で行ける、九份・淡水・十分・北投温泉です。 私たちがこの4つのスポットを訪れたのは、2025年10月です。
台北は湿度が落ち着き、朝夕は少し涼しさを感じる時期で、無理のない移動と散策ができました。 自然・歴史・癒しがバランスよく揃い、高齢の同行者や車いす利用がある旅でも「無理をしない選択」ができた場所でした。
この記事でわかること
この旅では、台北から日帰りや1泊で行ける場所を実際に歩き、気持ちが切り替わる4つのスポットを選びました。各地の雰囲気の違いや使い分けに加え、バリアフリー視点での注意点も体験ベースで整理しています。
「次の台湾旅行で、どこを足すか」を考える際の判断材料としてご覧ください。
九份|夕暮れに別世界へ切り替わる山の町
台北駅から電車とバスを乗り継ぎ、海が見え始めるころには、山と町が溶け合う九份らしい景色が広がります。夕暮れに赤提灯が灯る時間帯は雰囲気が変わり、歩く範囲を絞ることで無理なく観光できます。

夕暮れ時の九份で感じたこと
瑞芳駅からバスで向かい、海が見え始めた頃には気持ちも自然と高まりました。赤提灯が灯る夕暮れの坂道は、写真以上に“空気ごと記憶に残る”景色です。
高台のカフェで味わったタロイモ団子のやさしい甘さも、「ここまで来てよかった」と感じさせてくれました。

路地裏で見えた九份の素顔
メイン通りを外れると、観光客の声がふっと遠のきます。静かな路地には、古い看板やランプシェードが残り、今も人の暮らしが続いている気配が感じられました。
店先に腰掛ける地元の人や、ゆっくりと歩く猫の姿を眺めながら、「観光する」というより、ただその場に身を置く時間を過ごせたのが印象的です。
バリアフリー視点での注意点(九份)
バリアフリー情報(九份)
- 坂道が多く、車いすでの移動は一部困難
- バス停近くの展望スポットやカフェは比較的平坦
- 平日の午前訪問なら混雑が少なく、短距離でも楽しみやすい
・夕暮れの幻想的な風景を楽しみたい
・歩く距離を調整しながら観光したい
・ノスタルジックな雰囲気が好き
「全部回る」より「一部を味わう」選択が現実的です。
淡水|夕陽と人のやさしさに出会える港町
淡水は、台北からのアクセスが良く、「観光しよう」と力を入れなくても、自然と時間が流れていく場所でした。港町らしい景観、老街のにぎわい、そして人の距離の近さです。 昼と夕方で表情が変わるため、滞在時間の調整もしやすいと感じました。
老街散策で感じた安心感
MRTで台北駅から約40分。駅を出た瞬間、潮の香りと焼き魚の匂いが混ざり合い、 「あ、ここは台北とは少し違う」と身体が先に反応しました。 そんな時、老街を歩いている途中、突然のスコールにあいました。
慌てて屋台に駆け込むと、店の方が何も言わずに傘を差し出してくれました。その何気ない親切が、「観光地」ではなく「人の暮らしの中にいる感覚」を残してくれます。
阿給(春雨入り油揚げ)の甘辛い味と、黒糖タピオカのもっちり感も、歩いたあとの身体にちょうど良い重さでした。

恋人橋と漁人碼頭|立ち止まれる夕暮れ
夕方、フェリーで恋人橋へ向かいました。夕日に照らされた橋と海を眺めながら、マリエさんが静かにこう話してくれました。

通り雨のあとの澄んだ空気と港の景色が重なり、印象に残る時間になりました。
漁人碼頭の夕景と散歩道
フェリーで向かった漁人碼頭は、港町のゆったりとした空気が漂う場所です。桟橋を歩くと潮風に乗って音楽が流れてきて、近くのカフェからはコーヒーの香りがしてきました。 ベンチに腰掛け、ゆっくりと行き交う船を眺めながら、旅の締めくくりにふさわしい穏やかな時間を過ごせました。 
バリアフリー情報(淡水)
バリアフリー情報(淡水)
- MRT駅から老街・フェリー乗り場までは段差が少なく移動しやすい
- 老街の一部は石畳で揺れやすいため、介助があると安心
- 恋人橋や漁人碼頭へはフェリー利用が便利
・のんびりした港町の空気を味わいたい
・バリアフリーを重視して、移動の負担を減らしたい
・夕日を見ながらゆっくり過ごしたい
「歩きすぎない旅」をしたい日に向いています。
十分(シーフェン)|願いを空へ飛ばす体験型の町
十分(シーフェン)は、台湾の伝統文化を体感できる場所として人気のエリアです。線路沿いの商店街やランタン体験は、訪れる人の記憶に残る時間になりやすいと感じました。 十分は、景色を見るというより「参加することで心に残る場所」でした。
ランタン体験と線路沿いの町
平渓線で約1時間半。十分駅に降り立つと、線路沿いに店が並び、香ばしい匂いと人の声が混ざり合っています。 ランタンに願い事を書き、空へ放つ瞬間。店員さんが「車いすでも大丈夫ですよ」と声をかけ、準備を一つずつ手伝ってくれました。
ランタンが夜空に昇ると、自然と手を合わせてしまう——そんな「間」が生まれる体験でした。

十分大瀑布と小道の時間
駅から滝へ向かう道は、田園風景と地元の暮らしが静かに続いています。吊橋の揺れ、滝のしぶき、ひんやりとした空気に包まれながら深呼吸すると、頭の中の雑音がすっと消えていきました。
滝までの道は舗装されている部分もありますが、距離があるため、体調や時間に余裕がある日に選ぶのがおすすめです。音と水しぶきに包まれる感覚は、十分らしい自然体験の締めくくりになります。

バリアフリー視点での十分
十分は「体験を一つに絞る」と無理がありません。ランタン体験だけ、滝だけ、という選び方でも十分に満足度が高いです。
バリアフリー情報(十分)
- 商店街は狭い場所があり、介助があると安心
- 車いす対応のランタン店があり、サポートしてくれる場合がある
- 十分大瀑布は舗装路あり(距離はやや長め)
北投温泉|心と身体を静かにほどく場所
台北から電車でわずか数分の距離に、心と身体をやさしく包み込む温泉地があります。
北投温泉は、個室温泉や図書館、博物館、地熱谷など、癒しと知的好奇心を同時に満たしてくれるエリアです。 北投は、「何もしないことを肯定してくれる場所」でした。
個室温泉でほどける時間
MRT「北投」駅から新北投駅までは約3分。駅を出ると温泉街らしい湯けむりと硫黄の香りが漂い、旅の緊張が少しずつ解けていくのを感じました。今回は予約していた個室温泉(1時間800元〜)へ向かいました。
湯に身を沈めると、旅の疲れだけでなく心の緊張までふわりとほどけ、まるで何もかもから解放されるようでした。


図書館・博物館・地熱谷
北投では、図書館や博物館、地熱谷を巡りながら、無理のない「動かない観光」も楽しめました。地熱谷の湯気と青緑の水面を前に、自然の力を静かに感じる時間が心に残りました。 
バリアフリー視点での北投温泉
駅から主要観光地まで歩道が整備されており移動はしやすいですが、一部の温泉施設は段差があるため事前確認がおすすめです。公共足湯には手すり付きの場所もあり、短時間でも休憩しやすい印象でした。
バリアフリー情報(北投温泉)
- 駅から主要観光地まで歩道が整備され、移動しやすい
- 温泉施設は段差がある場合があるため、事前確認を推奨
- 公共足湯は手すり付きの場所があり、休憩にも便利
まとめ|台北から少し離れるだけで、旅は深くなる
九份・淡水・十分・北投温泉。それぞれに違う「やさしさ」と「余白」がありました。
- 無理をしない距離
- 人との小さなやりとり
- 立ち止まれる時間
ほんの少し足をのばすだけで、旅は観光から「心に残る時間」へ変わります。次の台湾旅行では、「詰め込まない一日」を、ぜひ組み込んでみてください。


コメント