台北から少し足をのばして|心がふっと軽くなる感動の3スポット旅

台湾旅行ガイド

「台北はもう満喫したし、次はどこへ行こうか?」

マリエさんの何気ないつぶやきが、この小さな冒険の始まりでした。せっかくなら少しだけ足をのばして、“日常を脱け出せる場所”を探してみよう。そう決めた私たちが向かったのは、九份・淡水・北投温泉の3スポットでした。

どこも台北から日帰りまたは1泊で行けて、自然・歴史・癒しが詰まった、心に優しい旅先でした。高齢者や車いすユーザーにも配慮された場所ばかりなので、安心して訪れることができます。

九份(きゅうふん):ノスタルジーと幻想が重なる街で

九份は特に心に残った場所のひとつです。台北駅から電車とバスを乗り継ぎ約1時間15分、夕暮れ時に到着すると、赤提灯が灯る坂道が迎えてくれました。まるで時間がゆっくりとほどけていくような感覚でした。

高台にあるCafeで食べたタロイモ団子は、もっちりとした食感と優しい甘さが絶妙でした。「こんな味、日本では出会えないね」とマリエさんと顔を見合わせた瞬間も忘れられません。

ふと耳を澄ますと、店内に二胡の音色が静かに流れていて、街の空気にやさしく溶け込んでいました。提灯の明かり、海からの風、音楽、そして語らい。そのすべてが、静かな感動を呼び起こしてくれました。

    バリアフリー情報

    九份は坂が多く、バリアフリー対応とは言いづらいですただし、入口付近のカフェや展望スポットは比較的平坦なので、同行者がいれば楽しめます。実際、足が不自由なマリエさんも「一部でも来られてよかった」と感動していました。

    淡水(たんすい):夕陽と人のやさしさに出会える場所

    淡水は、風景だけでなく“人の温かさ”が強く心に残る場所です。MRTで台北駅から約40分。レトロな雰囲気の老街を歩いていると、突然スコールのような雨に見舞われ、私たちは慌てて近くの屋台に駆け込みました。

    すると、お店の方がにこやかに「これ使って」と傘を差し出してくれたのです。言葉以上に、優しさが伝わる瞬間でした。「またこの町に戻ってきたい」と、心からそう思いました。

    その後、恋人橋で夕焼けの海を背景に写真を撮りながら、「この旅で一番ロマンチックな場所だね」とマリエさんがつぶやきに、私達は笑っちゃいました。淡水の空と海が、旅の記憶をより深く彩ってくれた気がします。

    老街では名物の阿給や黒糖タピオカを頬張りながら、懐かしさと新しさが同居する通りを歩きました。ひとつひとつの味が、旅の会話をさらに楽しくしてくれました。

    バリアフリー情報

    MRT駅から老街やフェリー乗り場までは道が整備されていて車いすでも安心でした。十分駅にはエレベーターはないものの、駅員のサポートや通路の工夫があり、介助があれば移動は可能です。

    現地の人の親切さにも助けられ、安心して楽しめる場所となっていたことにとても感心しました。その後、雨上がりの漁人碼頭へ。濡れた橋の上を歩きながら、空に大きな虹がかかっていて、偶然にも最高のタイミングでした。

     

    マリエさん
    マリエさん

    「雨が降ったおかげで、虹に会えたんだね」

    そう言って笑ったマリエさんの横顔が、今でも旅の一番の思い出です。

    十分(シーフェン):願いを空へ飛ばすランタン体験

    ローカル線に揺られ約1時間半。十分駅に降り立つと、カラフルなランタンが風に揺れ、昔ながらの商店街に懐かしい空気が漂っていました。どこか童心に戻るような、不思議な高揚感に包まれました。

    今回の旅の目的は“願いを空に飛ばすランタン体験”。四色ミックスのランタンに「健康」「金運」などの願いを書き込むと、「全部お願いしちゃおう」とマリエさんと笑い合いました。

    ランタンがふわりと空へ昇っていく姿に、自然と手を合わせ「叶いますように」と心の中で願っていました。店員さんが「車いすのままで大丈夫」と片言の日本語で声をかけてくれたその優しさも、忘れられません。

    その後は無料の「十分大瀑布」へ行きました。迫力ある滝の音と整備された遊歩道にとても癒されました。帰り道は、商店街で小吃を食べ歩き堪能しました。焼き団子やピーナッツアイスに思わず笑顔がこぼれます。

    「一生の思い出になったね」と空を見上げたマリエさんの言葉が、心に残りました。夕暮れが迫る中、ランタンの光がゆらめく通りを歩くのも幻想的で、しばし立ち止まって見とれてしまいました。

    どこを歩いても、旅の終わりを惜しむような優しい時間が流れていました。
    「また来ようね」と交わした言葉に、2人の旅の余韻がそっと重なっていました。

    特に心に残っているのは、店員さんの細やかな心配りでした。片言の日本語で笑顔を向けてくれ、高さを調整してくれたのです。マリエさんが空を見上げながら「一生の思い出になったね」とつぶやいたとき、私の胸にも静かに余韻が広がっていました。

    北投温泉:心と身体がとろける静けさ

    北投温泉では、旅の疲れだけでなく心の緊張までゆっくりとほどけていくのを感じました。予約していた個室温泉に入り、静かに湯けむりに包まれる時間は、まるで何もかもから解放されるようでした。

    「こんなに静かな場所が、台北のすぐ近くにあるなんて…」マリエさんがぽつりとつぶやいた言葉に、私も深く頷きました。

    温泉の後には北投図書館や温泉博物館を訪れました。木のぬくもりと温泉文化の息づかいにふれながら、ゆったりとした時間が心に響きました。

    知的好奇心をくすぐる癒しのスポット

    温泉のあとは、少し歩いて北投図書館へ行きました。木の香りに包まれた館内は静かで、時間がゆっくり流れているようでした。外のテラスで本を読んでいると、小鳥の声がBGMのように心地良く何とも言えない非日常を味わうことができました。その後立ち寄った温泉博物館では、昔の日本の温泉文化に触れて、どこか懐かしい気持ちになりました。

    帰り道、地熱谷にも立ち寄りました。立ち上る湯気と青緑の水面に見とれながら、「地球が生きてるって、こういうことなんだね」と話したその時間も、忘れられない思い出です。

    疲れた時にオススメの足湯

    北投には、観光途中にふらっと立ち寄れる公共の足湯スポットがいくつかあり、地元の人にも旅行者にも人気です。私たちが選んだのは「硫磺谷温泉公園」の足湯。竹の柵に囲まれた和風の小さな広場に、湯けむりがふわっと立ちのぼり、木陰にベンチがいくつも並んでいます。

    まとめ:台北を起点に“非日常”がすぐそこに!

    台北発の小さな冒険では、美しい景色に加え、人との温かなふれあいが心に残りました。ランタンを一緒に飛ばしたスタッフの笑顔や、タロイモ団子のおいしい食べ方を教えてくれた店のおばさん、傘を差し出してくれた優しさや足湯で交わした会話——

    旅の中で出会った優しさや、ふと交わした会話は、どんな観光名所よりも深く心に残りました。それは地図には載らないけれど、確かに旅の記憶を支えるもの、言葉よりも温度で伝わるような、あたたかな瞬間の連なりでした。

    歴史、自然、温泉…台北からほんの少し足をのばすだけで、まるで人生に“深呼吸”ができる場所に出会えます。しかもどこもバリアフリーで安心、誰もが優しく迎え入れてくれる観光地ばかり。「また来たい」ではなく、「また誰かを連れて来たい」と思わせてくれる旅でした。

    このブログが、台北周辺のおすすめモデルコースを探している方や、高齢者・障がい者との旅を考えている方のヒントになれたら嬉しいです。非日常は、思っているより、ずっと近くにあるのかもしれません。

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