台湾の雨季に台北市内のホテルに宿泊した際、洗濯物が一晩エアコンのドライモードでも乾かず困ったことがありました。ホテルのランドリーは常に満室で、仕方なく近くの「自助洗衣」コインランドリーを利用しました。
この記事では、実際に現地で体験したコインランドリーの使い方や、雨季を快適に過ごすための具体的なコツを紹介します。

「せっかくの旅なのに、毎朝“服乾いた?”って確認するの疲れるわね」

「今日こそコインランドリー、行ってみよう!」
街を歩いて見つけた、生活の台湾
実際にホテルのフロントで聞いた情報をもとに、徒歩5分ほどの場所にあるコインランドリーを利用しました。コンビニの隣にあり、制服姿の学生や仕事帰りの人たちが利用していて、観光とは違う現地の日常を感じられました。
静かな乾燥機の音を聞きながら、「ああ、ここにも暮らしがあるんだな」と心がほどけていくのを感じました。

「こういう場所に入ると、観光じゃなくて生活に近づいた気がするわね」
なぜ台湾にはコインランドリーが多いの?
街を歩いて実感したのは、コインランドリーの多さ。それには、台湾ならではの理由がありました。こうした背景を知ると、コインランドリーは“雨の日の味方”というだけでなく、台湾の暮らしを支える大切な存在だと感じました。
高温多湿な気候: 梅雨や台風シーズンには部屋干しでも乾かず、臭いやカビの原因になることも。乾燥機が頼りにされています。
住環境の制限: 都市部ではベランダがなかったり、洗濯乾燥機を置くスペースがない家庭も多く、外干しが難しいケースも。
ライフスタイルの変化: 共働き世帯が増え、時間の効率化のためにコインランドリーを利用する人が多いそうです。
24時間営業の利便性: 深夜や早朝でも使えるため、生活のリズムに合わせて利用できるのも魅力。
私が利用した店舗では、現金とLINE Payの両方が使えました。10元硬貨しか持っていなかったため、店内の両替機で50元硬貨に交換。中国語と英語で操作説明が掲示されていたので、初めてでも迷わず使えました。
洗剤は自動投入タイプでしたが、柔軟剤は持参が必要でした。洗濯機と乾燥機が整然と並び、床もきちんと清掃されていて清潔なことに安心しました。
はじめての洗濯体験とマリエさんの感動
持っていた10元硬貨を両替機で50元に替え、洗濯機に洗剤と衣類を入れてボタンを押す。工程はシンプルですが、旅行中はこうした“生活の操作”も一つひとつが発見の連続です。

「海外で洗濯なんて思わなかったけど、やってみると楽しいわね」
私も同じ気持ちでした。洗剤を入れる場所を間違えないように確認したり、柔軟剤が必要かどうかをマリエさんと相談したりしました。普段の生活では当たり前のことが、旅先では特別に感じられるのです。
店内での小さなハプニングと助け合いのエピソード」
乾燥が終わるまでの30分、マリエさんと並んで椅子に腰かけていると、突然、隣の乾燥機の中で「ゴトン!」という音がしました。どうやら乾燥中に落ちた硬貨が、ドラムの中に滑り込んでしまったようです。

「あら、中でコインが外れちゃった?動き止まっちゃうかも」

「裡面掉錢了?可以找老闆幫忙喔(中にお金落ちた?お店の人呼んでみて)」

「謝謝…助かります!」
店内の壁に貼ってあった電話番号に連絡すると、5分ほどでオーナーらしき男性がバイクで来てくれました。工具を持ってドラムを開け、中に入り込んだ硬貨を取り出してくれました。

「大丈夫、追加なしで続けていいよ」

「壊してしまうかと思いました、でもよかったです、親切にありがとうございます。」
観光地ではなく、日常の場面でこうして“気にかけてもらえる”ことが、私たちの心に残るのだと実感しました。現地の人の親切さに助けられた体験です。
乾燥機の機種と温度の違い
同じ店内でも、乾燥機のメーカーやサイズによって、仕上がりにかなり差があることに気づきました。一度、小型の乾燥機を選んだマリエさんの洋服は、熱風の強さで少し縮んでしまうというプチ失敗をしてしまったのです。
デリケートな衣類は低温設定か、大型乾燥機を選ぶのがおすすめです。

「あら〜、これ私のお気に入りだったのに…次からは低温にするわ!」
また、洗濯物が多いときは**大型乾燥機(30分60元)**の方が、ふっくら仕上がるという発見もありました。店内の説明には「天然ガス式」と「電気式」で熱の質が異なることや、機種ごとの推奨時間も書かれていて、そうした違いを試しながら過ごす時間も、コインランドリーならではの楽しさでした。
洗濯の合間に、そっと訪れた旅の余韻
待ち時間のあいだ、店内には高校生らしき制服姿の子たちや、仕事帰りのような男性もいました。みんな黙々と洗濯機の音に耳を傾けながら、スマホを見たり、本を読んだりー異国の空間なのに、そこには不思議と「落ち着き」がありました。

「これって、旅じゃなかったら出会えなかった時間よね」
マリエさんのその言葉に、私は静かにうなずきました。この空間にいると、旅人というより“生活者”としてそこに溶け込んでいるような気がして、心がふわりと軽くなったのです。観光地の賑わいとは違う、静かな豊かさがそこには確かにありました。
帰り道と心の余韻
洗濯と乾燥を終えた帰り道。夜風に吹かれながら、私たちはカゴいっぱいのふかふかの洗濯物を抱えて歩きました。通りに漂う夜市の匂い、遠くから聞こえるスクーターの音、まだ熱を帯びたタオルから立ちのぼる柔らかな香りが漂っていました。
そのすべてが、いつもとは違う“旅の手ざわり”を感じさせてくれました。

「なんだか、暮らしてる人になった気分ね」

「うん。こういうことも、旅の記憶にちゃんと残るのね」
ホテルに戻ると、ほんのり温かい洗濯物をベッドの上に広げて畳みながら、2人でぽつぽつと思い出を語り合いました。いつもは通り過ぎてしまうような“生活のひとコマ”に、ちゃんと自分が存在していたこと。そのことが、旅の意味をそっと深めてくれたような気がしました。
雨季の旅を豊かにする視点
雨季の台湾旅行では、現地のコインランドリーを活用することで、洗濯物の悩みを解消できます。実際に利用してみて、地元の人との交流や、日常生活の一コマを体験できるのも大きな魅力でした。
旅行中は、小銭や柔軟剤の準備、乾燥機の温度設定に気をつけると、より快適に過ごせます。雨季の台湾では、外に出られない日もあるかもしれません。でも、そんな日こそ「ちょっと暮らすような旅」を意識してみると、これまで見えなかった世界が広がるかもしれません。
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