台湾旅行で欠かせない楽しみのひとつが「朝ごはん」。観光地巡りの前に立ち寄るローカル食堂では、湯気と香りに包まれながら台湾の暮らしをそのまま体験できます。
この記事では、台北で実際に母娘で訪れた朝ごはんスポットを紹介します。豆乳(豆漿)、蛋餅(ダンビン)、鹹粥(シェンジョウ)など定番メニューの魅力に加えて、注文のコツや旅行者に役立つ情報もまとめました。
旅の一日を気持ちよく始めたい方や、ローカルな体験を楽しみたい方におすすめの内容です。
台北の朝、母娘で見つけた“やさしさ”
旅の2日目、台北の街はまだ薄暗く、静けさが残っていました。前夜はなかなか眠れなかったのに、朝になると不思議と軽やかに目が覚めます。
娘の花菜と手をつなぎ、古亭駅近くの路地を歩くと、大豆の甘い香りと湯気が立ちこめる空気に包まれました。その瞬間、台湾の“朝の物語”が幕を開けたように感じました。
湯気と香りに包まれる始まりの一歩
角を曲がると、大きなせいろから立ちのぼる蒸気。その向こうには、笑顔で迎えてくれるおばあちゃんの姿がありました。花菜が「なんだかお祭りみたいだね」とつぶやき、心が一気にほどけていくのを感じました。
台北の朝は早い|6時台からにぎわう街角
台湾では朝型の生活リズムが一般的で、6時過ぎには多くの人が朝ごはんを求めて行列を作ります。活気あるその風景は、日本の朝とはまったく違うものに見えました。
私たちが足を運んだのは、地元で人気の「永和豆漿大王」。常連客でいっぱいのこの店で、台北のリアルな日常を感じられました。
永和豆漿大王の基本情報
永和豆漿大王は、古亭駅から徒歩5分ほどの場所にあります。朝5時半から開店し、午前11時半には営業を終えるため、訪れるなら早起きが必須。観光客よりも地元の人で賑わい、庶民的で温かい雰囲気が漂います。
壁一面に漢字メニューが並び戸惑っていると、おばあちゃんが「蛋餅おすすめよ」と声をかけてくれました。その優しさに励まされて注文でき、花菜と一緒に小さくガッツポーズして笑い合いました。
項目 | 情報 |
---|---|
営業時間 | 5:30〜11:30 |
定休日 | 不定休(旧正月休みあり) |
アクセス | MRT古亭駅から徒歩5分 |
予算 | 1人50〜100元程度 |
蛋餅(ダンビン)の香ばしさと食感
豆乳と並んで人気なのが「蛋餅」。台湾式クレープのような料理で、外はパリッ、中はふんわり。焼きたてを頬張れば、香ばしい香りと卵の優しい味が口いっぱいに広がります。
花菜は「サクサクなのにふわふわ!」と感動し、私も思わず笑顔になりました。
おすすめトッピングと価格帯
蛋餅にはチーズやハムなどのトッピングを加えることができます。シンプルな卵入りだけでも十分おいしいのですが、追加するとコクや食べごたえが増し、さらに満足感が高まります。
メニュー | 価格の目安 |
---|---|
プレーン蛋餅 | 35元 |
チーズ蛋餅 | 45元 |
ハム蛋餅 | 50元 |
おかゆ(鹹粥)が伝える“やさしさ”
蛋餅の後に頼んだのは、具だくさんのおかゆ(鹹粥)。豚肉や干しエビの旨味が溶け込み、仕上げには揚げパンが香ばしく浮かんでいます。口に含めば、体の奥から温かさが広がるような感覚でした。
花菜が「体に沁みる味だね」と呟いた瞬間、台湾のおばあちゃんが作る家庭のお粥を思い出し、胸がいっぱいになりました。

「お母さん、この焦げ目がサクサクしてる!でも中はふわっふわ!」
鹹粥が持つ家庭料理の温もり
台湾では風邪をひいた時や体調が悪い時に、お粥を作ってもらう習慣があります。つまり、鹹粥はただの食事ではなく“やさしさの象徴”なのです。旅の中でその味に出会えたことは、私にとって大切な思い出になりました。

「お母さん、これ……体に沁みる味だね」
初めてでも安心!ローカル朝食の注文方法
台湾のローカル食堂は旅行者にも親切で、言葉が通じなくても工夫次第で注文できます。最初は戸惑っても、慣れるとむしろ楽しい体験に変わります。
Lulucoの一言:ローカル朝ごはん、これで安心!
注文の時は、メニュー番号を指さすだけで通じることが多く、言葉に自信がなくても大丈夫でした。別のお店では、紙に欲しいものを書いて渡すスタイルで、花菜と一緒に漢字をなぞりながら記入です。
現地の人のやさしさと、ちょっとした冒険気分が味わえました。メニュー表が漢字だけでも、近くのお客さんの注文を見て真似すれば大丈夫です。
食後はセルフでゴミを片付けるのが台湾スタイルです。最初は戸惑ったけど、“暮らしの一部”に参加できたようで、なんだかうれしかったです。
豆乳(豆漿)の種類と特徴
● 熱豆漿(リャオ・ドゥ・ジャン)
アツアツの甘い豆乳。定番の朝ごはんドリンク。
● 溫豆漿(ウェン・ドゥ・ジャン)
ぬるめの豆乳。子どもやシニアにも飲みやすい温度です。
● 冰豆漿(ビン・ドゥ・ジャン)
冷たい豆乳。暑い季節にぴったりの爽やかさ。
甘さは「半糖」や「不要糖」と伝えれば調整できました。私たちは「半糖」で注文したら、やさしい甘さでちょうどよかったです。
お店によって豆乳の濃さや香りが全然違うので、飲み比べも旅の楽しみになりました。花菜と「この店はちょっと香ばしいね」と感想を言い合うのが毎朝の恒例になりました。
さらに、旅メモに使える中国語フレーズも紹介できますまた注文する際に便利なアプリもあります。参考にしてみてくださいね。
台湾の朝ごはんは「多彩な選択肢」の宝庫
台湾の朝食文化は、豆乳や蛋餅だけにとどまりません。たとえば「飯糰(ファントゥアン)」と呼ばれるおにぎりは、もち米に揚げパンや漬物、卵をぎゅっと包んだボリューム満点の一品です。
片手で持てるのにお腹いっぱいになるため、通勤前の会社員に人気です。また、肉まんや小籠包を朝から蒸し立てで味わえる店も珍しくありません。
蒸気の立ちのぼるせいろを前にすると、それだけで幸せな気持ちにーパン派の人にはトーストサンドやミルクティーを提供するモダンな朝食店もあり、旅行者にとっても選択肢の幅が広いのが魅力です。
歴史が育んだ「食の多様性」
日本の「和朝食」がほぼ固定された形式なのに対し、台湾の朝は「自分の好みに合わせてカスタマイズできるバリエーション」があるのだと気づきました。
花菜と一緒に「明日は飯糰にしよう」「次は小籠包に挑戦してみよう」と、毎朝わくわくする気持ちで目覚めたことを覚えています。こうした多彩さは、台湾の食文化が外来の影響を受けつつ柔軟に取り入れてきた歴史とも関係しています。
短い滞在でも、異なるメニューを組み合わせて食べ歩くと「食で台湾を旅する」感覚を楽しめます。
旅行者のための「朝ごはん活用術」
朝ごはんを単なる食事で終わらせるのはもったいない――そう実感しました。少し工夫するだけで、旅の充実度はぐんと高まります。
例えば、観光地が混み合う前にエネルギーをしっかりチャージしておけば、一日を効率的に回れます。永和豆漿大王のような人気店なら、早朝6時台に訪れるのが狙い目です。
行列に並ぶ時間も短く、地元の人々が慌ただしく朝を過ごす姿を間近で見られるのも魅力です。また、注文した料理を写真に収めて旅メモを残すのもおすすめです。
後から振り返ると、観光名所の写真以上に「暮らしを旅した記憶」として心に残ります。
交流から生まれる小さな思い出
ローカル食堂での交流は、ガイドブックには載っていない学びを与えてくれます。店員さんのひとこと、隣の席の人との偶然の会話ーそれらはどれも観光スポットでは得られないかけがえのない瞬間です。
花菜も「朝ごはんの写真アルバムを作りたい!」と話していて、母娘で共有する小さな楽しみが旅の彩りになりました。食堂でのやり取りや現地の人々の生活に触れる体験は、観光地巡りよりも深く心に残るものです。
台湾旅行で「朝ごはんをどう過ごすか」を意識することは、単にお腹を満たす以上の意味を持ちます。文化を理解し、人と触れ合い、そして自分の旅を豊かにする――そんな体験の入り口になるのです。
まとめ、台湾の暮らしに触れる朝ごはんの魅力
台湾の朝食はただの食事ではなく、人々の暮らしや文化に触れる大切な時間です。観光名所では味わえない“生活の温度”を感じることで、旅の思い出はより深く、温かいものになります。
湯気立つカウンターで交わす小さな会話、蛋餅を頬張る花菜の笑顔、店員さんのさりげない親切――これらはすべて“台湾のやさしさ”を伝えてくれました。
旅の朝ごはんは、単なる一食ではなく心に刻まれる文化体験なのです。
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