「最近、仕事の合間に深呼吸すら忘れていたな…」そんな朝、SNSで目に飛び込んできたのは、一枚の写真でした。烏来渓谷のエメラルド色の川。
ちょうどその頃、友人マリエさんから届いた「週末、どこかでリフレッシュしない?」というメッセージが背中を押してくれました。
台北駅から約40分。緑と水に包まれた別世界へ。スマホの通知をいったん手放して、心のデトックスをしに、はじめての烏来へ向かいます。
朝の空気はまだ少しひんやり。台北の喧騒を背に、“別の時間”が始まる予感がしました。
📍この記事では、台北からバスで40分の烏来へ、日帰りで何ができる?温泉はどう選ぶ?雨が降ったら?予算は?実際に訪れて分かったアクセス、モデルコース、困りやすいポイントの対策をまとめました。
※この記事は2025年5月中旬(平日)に実際に訪れた体験をもとに作成しています。料金・営業時間・運行状況は変更される場合があるため、訪問前に公式情報でご確認ください。
烏来(ウーライ)の基本情報|台北近郊の温泉と先住民族の里
烏来は台北市南部の山あいにある温泉地で、渓谷美と温泉、そして台湾原住民族「タイヤル族」の文化が色濃く残るエリアです。台北から短時間で行けるのに、空気の湿り気や木の香りがまったく違い、“旅行スイッチ”が一気に入る場所でした。
標高が少し高いため、台北市内より体感で2〜4度ほど涼しい日もあります。夏は午後に雨が降ることがあるので、折りたたみ傘があると安心です。
季節別のおすすめポイント
- 春(3-5月):新緑が美しく、気温も快適(訪問時期)
- 夏(6-8月):午後にスコールあり。涼しさ重視なら午前中がおすすめ
- 秋(9-11月):空が澄み渓谷美が際立つ。紅葉は11月下旬
- 冬(12-2月):温泉が特に気持ちいい季節。防寒着必須
烏来の歴史とタイヤル族|温泉だけじゃない“土地の背景”
烏来という地名は、タイヤル族の言葉に由来するとされ、もともとこの地域は山の暮らしと深く結びついてきました。川と森に守られるような地形の中で、狩猟や織物などの文化が育まれ、今も老街の奥では、模様や色に意味を持たせた手仕事に出会えます。
温泉地としての賑わいの裏に、土地の記憶が静かに残っている――そのことを知って歩くと、烏来は「癒される場所」から「心に残る場所」へ変わりました。
バスで手軽に大自然へ|新店駅から849番バスで烏来へ
朝8:15頃、MRT「新店」駅に到着。改札を出て右へ進むと、裏手に小さなバスターミナルがあります。初めてだと少し分かりづらい位置で、私たちは一度反対側へ出てしまい、少し迷いました。
実際に困ったこと|バス停が少し分かりづらい(失敗談)
「改札を出たらすぐ見える」と思い込んでいたのが失敗でした。バス乗り場は駅の正面ではなく、建物の裏手側に回り込むイメージ。5分ほどロスしたので、時間に余裕を持って動くのがおすすめです。
地元の学生に道を聞きながら、なんとか849番バスを見つけることができました。運転手さんも笑顔で「OK!」と迎えてくれます。

車窓に広がる青と緑の景色
赤と白のバスに乗り込むと、窓の外に朝の台北の景色が流れます。通勤途中の人々が静かに乗車するなか、私たちはまるで修学旅行のような気分で胸が高鳴っていました。
川は次第に青みを増し、山の稜線がくっきりと姿を現します。斜面には白い雲が絡み、進むほどに空気が冷たく澄んでいくのが分かりました。

📷 Luluco(ナレーション)
私はカメラを構え、夢中でシャッターを切っていました。こうして移動中から“旅が始まる瞬間”を感じられるのが、台湾ローカルバス旅の魅力です。
・出発:MRT新店駅(松山新店線終点)から徒歩1〜2分(裏手のバスターミナル)
・利用:台北客運 849番(烏来方面)
・所要:約30〜40分(朝夕は渋滞で延びることあり)
・運賃:片道 約30NTD目安(悠遊カード利用可)
※運賃・運行本数は変更される場合があります。出発前に最新情報をご確認ください。
📌 参考リンク:
台北客運公式サイト(運行情報)
日帰りモデルコース|台北発・約6時間プラン
「日帰りでも満足できる?」と不安な方へ。私たちが実際に動いてちょうどよかった、無理のない6時間プランを置いておきます。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 8:15 | MRT新店駅 到着 |
| 8:30 | 849番バスで烏来へ出発 |
| 9:15 | 烏来到着・温泉街散策 |
| 10:00 | 個室温泉(約1時間) |
| 11:30 | 老街で竹筒飯ランチ |
| 13:00 | タイヤル族工芸(ブレスレット) |
| 14:30 | 川沿いの足湯で休憩 |
| 16:00 | 烏来発 → 台北へ |
渓谷沿いの個室温泉で深呼吸|春秋湯屋へ
終点「烏来」に着くと、湿った風と草の香りがふわり香ってきました。石畳の坂を下り、予約していた温泉宿「春秋湯屋」へ向かいました。
木の香りが広がる個室の引き戸を開けた瞬間、窓いっぱいの渓谷の緑が目に飛び込み、体の力がすっと抜けていきました。
烏来の温泉はどっちが合う?|個室派 vs 大浴場派(2施設比較)
烏来の温泉、どっちが合う?
春秋湯屋 (個室温泉)
📌 こんな人におすすめ
静かに整いたい/友人・家族で気兼ねなく/人目が苦手な方
🌿 雰囲気・眺め
渓谷ビューの個室が選びやすい。木の香り・湯けむりが近く、深呼吸したくなるタイプ。
💰 料金目安
1時間 500〜800NTD前後 ※部屋/時間帯で変動
📅 予約
事前予約推奨 (週末は埋まりやすい)
⚠️ 注意点
現金のみの場合もあるため、現金+悠遊カードが安心。タオルの有無も事前確認推奨。
璞石麗緻温泉会館 (大浴場/スパ系)
📌 こんな人におすすめ
気軽に温泉を楽しみたい/複数の湯を回りたい/短時間でさっと入りたい
🌿 雰囲気・眺め
大浴場・スパ要素があり、施設の充実感で選びたい方向き。混雑時は賑やかになることも。
💰 料金目安
プランにより変動 ※公式料金の確認推奨
📅 予約
当日利用可の場合もあるが、連休は事前確認が安心
⚠️ 注意点
昼〜夕方は待ちが出ることも。タオル/ロッカー方式など当日案内に従う。
※料金・営業時間・予約方法は変更される場合があります。訪問前に各施設の公式情報でご確認ください。
💡 迷ったらこの基準でOK
静けさ・渓谷の眺め・会話を楽しみたい → 春秋湯屋(個室)
種類の多さ・施設の充実感・手軽さ重視 → 大浴場/スパ系
湯けむりの中で交わした言葉

「都会では絶対に味わえない静けさだね」

湯上がりの麦茶をひと口流し込むと、ほんのりとした甘さが喉を通り、心がゆるんでいきました。湯けむりの向こうで鳥の声が響き、温泉の香りに包まれると、まるで体の中まで洗い流されるような感覚になります。
渓谷を望む窓際には木製の椅子があり、湯上がりに外気を感じながら休む時間もまた贅沢でした。渓谷の静けさに包まれながら湯に浸かる時間は、心と体を同時に解きほぐしてくれます。
初めて訪れる方にも分かりやすいよう、温泉選びのポイントをまとめました。


烏来名物ランチ|竹筒飯と山野草の天ぷら
温泉で芯から温まった後は老街散策へ。川沿いの小さな食堂「老街竹筒飯」に立ち寄りました。竹の香りとともに広がるもち米の甘み、揚げたての天ぷらの香りがたまりません。
この日はちょうどお昼前に入れましたが、周囲のお店は少しずつ行列ができ始めていました。烏来は日帰り客が多いので、昼前後(11:30〜13:30)が混みやすい印象です。
山野草の天ぷらは、衣の音とともに香ばしさが広がり、店先を抜ける風が少しひんやり。観光客よりも地元のお年寄りがゆっくり食事している姿に、“日常の中の烏来”を感じました。

烏来の食事情報
香り立つ竹筒飯や揚げたての天ぷらは、湯上がりの体にやさしく染みわたります。一番おいしいタイミングで味わうために、知っておきたい情報をまとめました。
・代表料理:竹筒飯、山野草の天ぷら
・価格:150〜250NTD前後(セットはスープ付きのことも)
・ポイント:昼過ぎに売り切れることもあるため、午前〜昼前の来店が安心
※店名・価格は訪問時点の目安です。現地でご確認ください。
タイヤル族の工芸にふれる|祈りが織り込まれた手仕事
温泉街を少し奥に進むと、木造の軒先に色とりどりの織物やビーズが揺れていました。店主が穏やかな笑顔で教えてくれたのは、タイヤル族の色と模様に込められた意味です。
「赤は勇気、黒は大地、ひし形は家族の絆」。模様は飾りではなく、祈りや記憶の“言葉”のようにも感じました。
さっそく私たちはブレスレット作りに挑戦。糸を通すたびに色が重なり、世界にひとつだけの作品が形になります。指先で糸のざらりとした感触を確かめながら集中していると、時間の流れがゆっくりになっていきました。


旅の記憶を編む、小さなブレスレット


📷 Luluco(ナレーション)
風に揺れる糸の音を聞きながら、旅の終わりに少しだけ静かな時間が流れました。窓の外の光が糸に反射して、まるで旅そのものが形になったように見えました。

工芸体験ガイド
色鮮やかな糸やビーズを手に取ると、不思議と気持ちが落ち着きます。背景の物語を知るほど価値がふくらむのも、工芸体験の面白さでした。
・体験:織物・ビーズアクセ作り(30〜60分)
・商品例:ストール 600〜1200NTD/ポーチ 200〜500NTD
・ポイント:午前中の訪問が比較的ゆったり。人気商品は早めに売り切れることも。
※価格は訪問時点の目安です。現地でご確認ください。
川沿いの無料足湯でリセット
帰り道、地元の方に教えてもらった無料の足湯へ。石造りの湯舟に足を浸すと、ぬるめのお湯がじんわり体を包みます。温泉でしっかり温まったあとでも、足湯はまた別の心地よさがありました。
夕暮れに溶け込むような時間
川の音、木の葉の揺れ、やわらかな風——その全部が穏やかな音楽のよう。湯面に映る夕暮れの空が少しずつ茜色に染まり、鳥の鳴き声が遠くでこだまします。
自然のリズムに身を委ねると、言葉よりも深く“癒し”が届いてくるようでした。

無料の足湯情報
歩き疲れた足をやさしく包むぬるめのお湯は、何とも言えない心地よさです。無料で立ち寄れるので、散策の締めくくりにぴったり。自然の音に耳を澄ませながら、時間を忘れて過ごせます。
・場所:烏来老街から徒歩約5分目安
・利用料:無料(夜間は照明が少ないことあり)
・設備:石造り湯舟、木製ベンチ(更衣室なし)
・持ち物:タオル、替え靴下、飲み物、雨天時は滑りにくい靴
予算の目安|日帰りでどれくらいかかった?
私たちの体感では、烏来日帰りは1人あたり 800〜1,500NTD程度に収まりやすい印象でした(温泉のプランや買い物量で変動)。
ざっくり内訳(1人分の目安)
- 交通(MRT+バス往復):約100〜250NTD
- 温泉(個室1時間):約500〜800NTD
- ランチ:150〜250NTD
- 工芸体験・買い物:0〜500NTD(やる内容による)
※金額は訪問時点の目安です。最新料金は現地・公式情報でご確認ください。
よくある質問(Q&A)
Q. 雨の日でも楽しめますか?
温泉・老街・工芸体験は屋内中心なので楽しめます。ただし渓谷周辺の散策路は滑りやすくなるため、防水の靴や折りたたみ傘があると安心です。
Q. 悠遊カードの残高はいくら必要?
交通だけなら200NTD程度あれば十分なことが多いです。ただ、食事や温泉は現金のみの場面もあるため、現金もあわせて準備しておくのがおすすめです。
Q. トイレやWi-Fiはありますか?
老街周辺にはトイレがありますが、場所によっては混むことも。Wi-Fiはお店によって対応が異なるため、通信が必要な方はモバイル回線前提で考えると安心です。
Q. ベビーカーや車椅子は使えますか?
老街は一部石畳と坂道があり、完全バリアフリーではありません。個室温泉は段差が少ない施設もあるので、事前に入口や浴槽の段差を確認すると安心です。
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まとめ|日帰りでも、心がほどける“癒しの谷”
台北から約40分の烏来は、温泉・郷土料理・手仕事・川沿いの静けさに包まれる特別な場所でした。忙しい日常を離れ、呼吸や五感を取り戻せる——そんな時間がここにはあります。
帰りのバスの窓に映る自分の顔は、来るときよりも柔らかく、どこかすっきりして見えました。短い滞在でも、心の奥にやさしい余白が残る——それが烏来の魅力。
短時間でも心が満たされ、また訪れたくなる“癒しの谷”でした。


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