「お母さん、最近ずっとパソコン見てるよね」──娘の花菜のその一言に、ハッと胸を突かれました。仕事に追われる日常をリセットするために選んだのは、台北から飛行機で約50分の澎湖諸島です。
飛行機を降りた瞬間、少し塩気を含んだ強い南風が肌を撫で、島時間の始まりを告げてくれました。
台北から澎湖への行き方|空の上から旅は始まる
松山空港のロビーで、少し冷めたパンをかじりながら出発の時間を待ちます。「今日はどんな青色が見えるかな」と窓の外を眺める花菜の瞳は、すでに島の色を映しているようでした。
今回利用したのはマンダリン航空。20kgまでの預け荷物が無料という太っ腹な設定は、サンダルや着替え、浮き輪など荷物が増えがちな家族旅には、何よりの安心材料でした。
小型機の窓に広がる「青のグラデーション」

「澎湖へ行くには最高のお天気だね!あれが私たちの飛行機? ちっちゃくてかわいい!」

「でもね、この翼が私たちを、たった50分で別世界へ運んでくれるんだよ」

「滑走路を走るこの瞬間が、一番ドキドキするね」
離陸して雲を抜けると、眼下には大小さまざまな島々が点在する、見たこともないような濃淡の青が広がります。ベルトを締めて手を握り合った瞬間、日常の重荷がフワッと消えていくのを感じました。
アクセスと費用の目安
- 利用航空会社:マンダリン航空
- 所要時間:約50分
- 料金目安:片道 約3,000〜5,000台湾ドル(時期・曜日により変動)
- 受託手荷物:20kgまで無料

✈️ マンダリン航空・予約の賢いヒント
週末や連休は地元の方でも争奪戦になるほど人気です。公式サイトから早めに予約を済ませ、当日は松山空港のコンパクトさを活かして、出発1時間前には到着して「空港のゆとり」を楽しむのが旅をスムーズにするコツです。
山水ビーチ体験談|泳がなくても心満たされる場所
山水ビーチ(山水沙灘)に一歩足を踏み入れると、きめ細やかで真っ白な砂が指の間をさらさらと通り抜けます。遠浅で波が穏やかなこの場所は、家族で過ごすには最高のステージでした。

「うわっ…底まで丸見え!本当に海なの?」

「りゅう、見て!あの岩場の影に、小さな青い魚が隠れてるよ」

「ほんとだ!捕まえられそうなくらい近い!」
泳ぐのが苦手な私は、波打ち際に腰を下ろし、ただ寄せては返す透明な水を眺めていました。遠浅の海は子供たちの笑い声をどこまでも遠くまで運び、私は日陰で冷えた台湾フルーツを頬張りながら、予定を詰め込まない贅沢を噛み締めていました。
ここには、都会の喧騒も、通知の止まらないスマホも必要ありません。
山水ビーチへの行き方
- 空港からの距離:約8km
- 移動手段:タクシーで約15分
- 料金目安:250台湾ドル前後

初めてのマリンアクティビティ|「安全」が勇気をくれる
「お母さん、ひっくり返ったら僕がすぐ助けるから!」 りゅうちゃんの頼もしい(?)冗談に笑いながら、私たちはシーカヤックに挑戦しました。最初はパドルの扱いに苦戦し、カヤック同士がぶつかっては「おっとっと!」と大爆笑です。
海の上で「家族のチームワーク」を試す
インストラクターの「大丈夫、リラックス!」という日本語の明るい声と、体をしっかり守ってくれるライフジャケットが、カナヅチの私の不安を溶かしてくれました。
カヤックの上から覗き込む海は、ビーチから見るよりもさらに深く、神秘的な色。家族全員で呼吸を合わせて漕ぎ進む一体感は、どんな観光スポットを巡るよりも、私たちの絆を強くしてくれた気がします。
シーカヤック体験の基本情報
- 料金目安:1人 800〜1,200台湾ドル
- 所要時間:約60分
- 予約方法:ホテル経由または現地ツアー会社
- ライフジャケット:必須・現地貸出あり

澎湖老街で地元グルメ三昧|磯の香りと衝撃のアイス
石畳の路地に一歩足を踏み入れると、古いレンガ造りの建物から、香ばしい磯の香りとどこか懐かしい醤油の匂いが漂ってきます。夕暮れ時の淡い光に包まれた老街は、台北の夜市とはまた違う、おっとりとした島ならではの活気に満ちていました。
「お腹すいた!」とはしゃぐ花菜とりゅうの声に誘われるように、私たちは湯気が立ちのぼる屋台の列へと吸い込まれます。そこで出会ったのは、海の恵みが凝縮された一杯と、私たちの度肝を抜く鮮やかな「島スイーツ」でした。
舌を真っ赤にして笑い合った「サボテンアイス」
行列の絶えない牡蠣麺線で、ぷりっぷりの大粒な牡蠣を堪能した後のデザートは、澎湖名物・サボテンアイス(仙人掌冰)です!

「見て!この色、まるでインクみたいに真っ赤だよ!」

「あはは、りゅうちゃんの口の周りも舌も真っ赤っか!すごいことになってる!」

「でもこれ、見た目と違ってすごくさっぱりしてるね。ベリーみたいで美味しい!」
サボテンという言葉のイメージを覆す、酸味の効いた爽やかな甘さ。食べ終わった後にお互いの真っ赤な顔を見て笑い合ったその時間は、どんな高級料理よりも色鮮やかに記憶に刻まれました。

宿泊の極意|余白をデザインするホテルの選び方
離島での滞在を最高の思い出にする鍵は、実は「外」ではなく「宿での過ごし方」にあるのかもしれません。
窓を開けた瞬間に飛び込んでくる圧倒的なブルーと、耳を澄ませば聞こえてくる優しい波音は、どんな観光スポットよりも、心を穏やかにしてくれました。
慣れない島移動で疲れが出やすい家族旅だからこそ、私たちはあえて「余白のある時間」を贅沢に味わうための拠点選びを重視しました。
三世代での再訪を確信した、澎湖ならではの「おもてなしの形」と、快適なホテル選びの基準をご紹介します。
三世代旅行を見据えた「ゆとり」のチェックポイント
澎湖の旅を成功させる秘訣は、予定を詰め込まない「余白」にあります。
- 空港送迎の有無:重い荷物と疲れた子供を抱えての移動は、プロに任せるのが一番。
- バリアフリー対応:段差の少ない設計は、将来おばあちゃんと来るときの大切な下見でもありました。
🏝️ 澎湖を120%楽しむための「三カ条」
- 午前中をフル活用:人気のスポットは10時を過ぎると混み合います。朝一番の澄んだ空気と静かな海を独占しましょう。
- 夜はホテルのテラスで:街灯の少ない澎湖の夜空は、天然のプラネタリウム。波音をBGMに星を数える時間は格別です。
- ゆとりのある時間を予定に入れる:予定を詰め込みすぎず、ただ海を眺める「余白」の時間こそが、澎湖の最高の贅沢です。

安全に過ごすための注意点
澎湖の自然は驚くほど美しい反面、島特有の気候や環境へのちょっとした準備が、旅の成否を分けることもあります。
心地よい海風に吹かれているとついつい忘れがちですが、島の太陽と風は想像以上にパワフルで、私たちの体力をじわりと奪っていきました。
「知っていればもっと楽だったのに」という私たちの実体験を、これから旅立つあなたへ、家族の笑顔を守るためのヒントとして共有します。旅のしおりにぜひ書き加えてほしい、離島ならではのセーフティ・ガイドをまとめました。
⚠️ 澎湖旅の安全・リスク管理
- 強烈な紫外線に注意:風が強いため涼しく感じますが、日差しは想像以上に強力です。ラッシュガード、帽子、日焼け止めでの保護を徹底してください。
- フライトの欠航リスク:天候(特に強風)により飛行機が欠航することがあります。スケジュールには必ず1日の予備日を持たせるのが安心です。
- 水分補給を忘れずに:心地よい潮風で自覚しにくいですが、熱中症対策としてこまめな水分補給を心がけましょう。

まとめ|心をほどく、家族のための島・澎湖へ
「今度は、おばあちゃんも一緒に連れてきてあげたいね」 旅の終わりに、少し日焼けした顔でりゅうちゃんが言いました。

「うん、午前中にいっぱい遊んで、午後はホテルでのんびり。それが一番の贅沢だもんね!」
澎湖は、何かに追われるように観光する場所ではなく、ただ家族で笑い、美味しいものを食べ、海の色を眺めるための場所です。台北からわずか50分。スマホを置いて家族の目を見つめ合う時間を、あなたも澎湖で見つけてみませんか?

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