「お母さん、最近ずっとパソコン見てるよね」──娘の花菜の一言が、家族で澎湖旅行を決めたきっかけでした。忙しい毎日に追われていた私ですが、「どこか、みんなでゆっくりできる場所に行こう」と家族で話し合い、地図を広げて澎湖諸島を選びました。準備の段階から会話が弾み、旅はもう始まっていたのかもしれません。
台北から飛行機で50分で行ける台湾の離島・澎湖は、青い海と白い砂浜が広がるビーチリゾートです。でも、「海外の離島って、アクセスは? 子どもや高齢の家族でも大丈夫?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初めての澎湖旅行でも安心して楽しめるように、家族旅ならではの視点と実体験をもとに、アクセス方法・おすすめスポット・食事・宿泊・アクティビティまで丁寧にご紹介します。
台北から澎湖への行き方|初心者でも迷わないアクセスガイド
朝6時、まだ眠そうな花菜を連れてタクシーで松山空港へ向かいました。ロビーで朝ごはんのパンをかじりながら、「今日はどんな景色が見えるかな」と家族でワクワクです。小型機に乗り込むと、離陸の瞬間に思わず手を握り合ってしまうほど、胸が高鳴りました。
窓から見えた青い海に「もう島が見える!」と子どもたちが大はしゃぎでした。到着後は、空港の送迎バスでホテルへ。運転手さんが日本語で「ようこそ」と声をかけてくれて、一気に緊張がほぐれました。

「澎湖へ行くには最高のお天気だね!あれが私たちの飛行機? ちっちゃくてかわいい」

「でも、この小さな飛行機が、1時間であの青い島に連れてってくれるんだよ」
空港で手続きを終えると、落ち着いたロビーの雰囲気にほっと一息しました。搭乗を待つ間の「窓側がいいね」「海が見えたらいいな」という何気ない会話が、旅の始まりを優しく彩ってくれました。シートに座ってベルトを締めた瞬間、ふっと心が軽くなったのを感じました。

「この時間が、一番ワクワクするね」
私たちが利用したのは、市内中心部からアクセスの良い松山空港から出発する国内線。澎湖の馬公空港までは、マンダリン航空で約50分のフライトでした。片道の料金は一人2,000〜3,000元ほどで、預け荷物は20kgまで無料だったのもありがたかったです。
週末だったこともあり、チケットは出発前に公式サイトで早めに予約。天候によっては欠航することもあると聞いていたので、予定にも少し余裕を持たせておきました。
山水ビーチ体験談|泳げない人でも楽しめる美しい浜辺
山水ビーチに到着した瞬間、家族全員で「すごい!」と声を上げました。花菜は白い砂浜に裸足で駆け出していきました。私は波打ち際に座り、ぬるい海水に足を浸してリラックス、りゅうは砂の中の小さなカニを探して夢中でした。
現地の親子と一緒に貝殻を集めて遊び、言葉が通じなくても子ども同士はすぐに打ち解けていました。私は日陰で台湾フルーツを食べながら、遠くで遊ぶ子どもたちの声と波の音に癒されました。

「うわっ…ほんとに海、透けてる!」

「りゅう、ほら!あの岩の影に魚がいるよ」

「ほんとだ、綺麗だね、これ何ていう魚だろう。これだけ浅くても見えるんだな」
子どもたちとビーチでたわむれていると、日常の喧騒がすうっと遠ざかっていきました。砂に腰を下ろして空を見上げたとき、心がほどけていく音が聴こえ、一気に開放感が増しました。
初めてのマリンアクティビティ|澎湖で安心して遊べる理由

「お母さん、ひっくり返ったら助けるから安心して(笑)」

「縁起でもないこと言わないの」
りゅうのからかいに、私は笑いながら、ライフジャケットをきゅっと締め直しました。シーカヤックは家族全員初めてで、最初は「転覆しないかな」と不安でしたが、インストラクターが日本語で「大丈夫!」と励ましてくれました。

「お母さん、ぶつかってきた〜!」

「ごめんごめん、パドルの動かし方間違えたかも…」
実際に乗ってみるとカヤックは安定感があり、花菜はすぐにスイスイできました。私は方向転換が苦手で、「お母さん、こっちだよ!」と何度も笑われました。カヤックがぶつかって大笑いしたり、シュノーケリングではマスクに水が入り焦りましたが、インストラクターが手を握ってくれて安心できました。
澎湖老街で地元グルメ三昧|牡蠣麺線やおすすめ屋台紹介
夕方、澎湖老街に着くと、まず目に入ったのは行列の牡蠣麺線屋台でした。花菜は「絶対食べたい!」と目を輝かせて並びました。牡蠣麺線は磯の香りが広がり、ぷりぷりの牡蠣ととろみのあるスープが絶品でした。
りゅうは「苦手かも」と言いながらも完食です。食後は豆花屋さんで黒糖豆花を注文し、「冷たくて甘い!」と大満足。屋台のベンチで並んで食べる時間は、レストランでは味わえない特別な思い出になりました。

「うーん、牡蠣が入った麺線って、どうなんだろ?」

「絶対美味しいに決まってるよ。現地の名物って聞いたら、食べなきゃ損だよ!」
手にしたどんぶりは想像以上に重みがあり、熱々のとろみあるスープの中には、小粒ながら風味豊かな牡蠣と、喉越しのよい細麺がたっぷり。上にはふんわりと海藻が乗っていて、潮の香りがほのかに立ちのぼります。
一口すすると、スープの旨みと牡蠣のぷりっとした食感が広がり、海の味わいがじんわりと感じられました。屋台の軒先に腰かけ、家族で並んで麺線をすすっていると、通りにぽつぽつと灯りがともり、潮風が髪をやさしく揺らしました。
あたたかいスープと家族の笑い声が、心の奥までじんわり染みていくようでした。支払いは現金のみなので、小銭があると便利です。夕方は混み合うので、私たちは17時前に訪れて正解でした。
澎湖で泊まるなら?家族にやさしいおすすめホテル情報
今回の宿泊先は「澎湖湾リゾート」、チェックイン時、スタッフの「ご家族皆様のアメニティもご用意しています」というひと言に、花菜とりゅうも笑顔に。部屋に入ると大きな窓から広がるオーシャンビューです。ベッドにはウェルカムフルーツと手書きのメッセージが添えられていて、温かな歓迎が伝わってきました。
お風呂から見える海と潮の香りに、思わず「気持ちいいね」と声がもれました。少し熱めのお湯で体がゆるみ、りゅうの何気ないひと言に照れつつも、心がふっと温まりました。バスタイムの「今日も楽しかったね」という会話が、旅の特別な瞬間になりました。
朝食は地元の魚がとても美味しく、花菜は何度もおかわり。夜はテラスで満天の星を見上げ、「おばあちゃんも一緒に来られるね」と自然に口にできたのは、バリアフリー対応の部屋だったからこそ。澎湖での滞在は、景色も食事も空気も、家族に寄り添う優しさにあふれていました。

「東京の夜空とは全然違うね」

「星って、こんなに瞬いてたっけ?」

「3人でこうやって夜空を見上げるのっていつぶりだろうね。」

「何もしないって、贅沢だね」
波の音と風のささやきが静かな夜に溶け込み、遠くから漂うバーベキューの香りに心がふわっとあたたかくなりました。都市の便利さとは違い、ここでは家族だけの穏やかな時間が流れ、五感が自然と整っていくようでした。誰かの何気ない一言が、この旅そのものを表しているように感じました。
家族で行く澎湖リゾートの魅力と注意点
帰りの飛行機で、花菜が「お母さん、また来年も絶対来ようね」と言いました。今回の旅で一番感じたのは、「何もしない時間」が家族の絆を深めてくれるということでした。澎湖は、派手さはないけれど家族でゆっくり過ごすには最高の場所です。
普段忙しくてなかなか時間が取れない方にこそ、ぜひ一度訪れてほしいと思います。「次は祖母も一緒に」──そう思えるほど、安心して過ごせる島でした。その声には、名残惜しさと静かな満足感がにじんでいました。

「今度はおばあちゃんも一緒に来たらいいかもね。リゾートも安全だったし」
澎湖は、美しい海とやさしい人々に出会える、心ほどける島でした。アクセスもよく、松山空港からわずか1時間で到着できるので、初めての方や高齢の家族との旅にもぴったりです。
ビーチやアクティビティ、老街のグルメも気軽に楽しめて、バリアフリー対応の宿泊施設も充実しています。何気ない時間の中に、確かな癒しがありました。Lulucoの家族では、予定を詰め込みすぎず、のんびりと過ごすスタイルがおすすめです。
まとめ|心をほどく、家族のための島・澎湖へ
澎湖は、観光地としての派手さはないけれど、静かに寄り添ってくれるやさしい場所でした。
透き通る海、あたたかい人々、のんびりと流れる時間、初めての離島旅に不安を抱えていた私たち家族も、気がつけば自然と笑顔になっていました。
アクセスが良く、宿泊や移動もスムーズ。アクティビティは初心者でも安心して参加でき、グルメも地元の味が楽しめます。そして何より、親子三人で「何もしない時間」を共有できたことが、この旅の一番の贈り物でした。
「今度はおばあちゃんも一緒に」──そう思えたのは、澎湖が誰にとってもやさしい場所だったからです。あなたの次の旅にも、きっとぴったりの「癒し」が見つかるはずです。
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