台湾滞在3日目の夕食後、ホテルのベッドに座りながら、私がぽつりとつぶやいたときのことです。

「小籠包も食べたけど、もっと現地の人が食べてるもの、食べてみたいよね」

「駅で駅弁買って、列車の中で食べるとか?なんか台湾っぽくない?」

「学食って入っていいのかな?行ってみたいかも」
そんな家族の一言から生まれたのが、「観光じゃない台湾」を味わうグルメ探訪です。観光名所をめぐる旅の合間に、私たちは台湾の“日常”を探しに行くことにしました。
台鐵便當は“旅の相棒”|列車で食べるごちそう体験
翌日、台中駅のホームで、りゅうの目線は、売店に並んだ台鐵便當にくぎ付けになりました。
「排骨便當にする?豚のスペアリブがドンって乗ってるやつ!」と目を輝かせながらチョイスしたのは、揚げたての排骨が香ばしい定番便當を選びました。
列車が動き出し、車窓から広がる田園風景を眺めながら頬張るひと口目。「うまっ!」とりゅうが叫び、花菜も「この味、家でも作ってほしい〜」と満面な笑顔になりました。
「食べてるだけで、旅の途中って感じがするね」と、車内の空気と一緒に味わう駅弁は、ただの食事じゃない。そこには、その瞬間の風景や空気までもが閉じ込められているのです。
学食なのにカフェみたい?台湾大学で“暮らしの温度”を味わう
台北に戻って訪れたのは、緑豊かな国立台湾大学です。
「これって、学食なの?おしゃれすぎる!」と花菜が大はしゃぎです。カフェのような空間には、観葉植物と木製のテーブル、地元の学生たちがリラックスした雰囲気でランチを楽しんでいました。
りゅうが選んだのは魯肉飯と卵スープでした。「この味、クセになるな…」とつぶやきながら、地元の学生たちと同じ時間を共有していることに、どこか誇らしげな表情を見せていました。
台湾の“暮らし”が、目の前の一皿に詰まっている──そう感じる、静かな感動がありました。
窓の外からは、風に揺れる木の葉のささやきが聞こえ、ゆったりとした時間が流れています。
私たちも自然と笑顔になり、心の奥がじんわり温かくなっていくのを感じました。
旅先で見つけた“食文化の宝物”|市場と屋台の彩り
駅弁や学食だけでなく、地元の市場や屋台も台湾の暮らしの味を感じる貴重な場所でした。台北の朝市を歩くと、肉まんの香ばしい匂いに誘われて屋台へ行ったときのことです。
店主のおじさんが差し出した熱々の肉まんは、ふわふわの皮にジューシーな餡がぎっしり入っています。りゅうは「日本のと全然違う!」と目を輝かせ、花菜も「もう一個食べたい!」と大満足でした。
市場の奥では色とりどりの果物や惣菜が並び、地元の人々が和気あいあいと買い物中。片言の会話も心温まり、旅の思い出がより豊かになりました。
こうした出会いが、台湾の食文化の多様さや温かさを肌で感じさせ、子どもたちには「食べる楽しみ」だけでなく「人とつながる楽しさ」も教えてくれました。
子どもたちが見つけた“日常の宝物”
ホテルの部屋に戻ってから、子どもたちはスマホで駅弁の写真を何度も見返していました。
「この味、また食べたいな」「今度は違う大学の学食にも行ってみたい」そんな声が自然とこぼれるほど、今回のグルメ体験は彼らの心に残っていたようです。
普段は観光スポット中心の旅も楽しいけれど、こうして“暮らしの一部”に触れたことで、旅がもっと深く、もっと優しく感じられる──それが今回の発見でした。
部屋の静けさの中、二人の小さな声が心地よく響き、私も思わず微笑んでしまいます。これからも家族で、こんな“日常の旅”を続けていきたいと、静かに願う夜でした。
お腹だけじゃない、心まで満たす“地元メシ”の力
駅弁を食べた車内、学食で交わした会話──そこには、台湾の日常がありました。ローカルフードは、ただ空腹を満たすだけじゃなく、心をほっとほどいてくれました。
とくに子どもたちにとって、その“食卓の空気感”こそが旅の宝物だったようです。食後の会話も、なんだかいつもより柔らかくて、笑い声が多かったです。
りゅうが「またこの味、みんなで食べたいね」と言ったときの花菜の満面の笑顔ー彼女が何度もおかわりをしていた魯肉飯のことを話す姿が、今も思い出されます。
そんな変化もまた、地元グルメがもたらしてくれた効果なのかもしれません。旅先での“食”が、家族の距離をぐっと縮めてくれた、そんな瞬間でした。
旅の後も続く「台湾ごはん」ごっこ
台湾大学の学食は、一般の人でも案内に従えば自由に入れます。営業時間は平日の11時から14時がメインで、夕方も営業しているお店がありました。
価格は40〜70元ととてもリーズナブルで、学生以外でも気軽に楽しめます。店内は清潔で、まるでカフェのように落ち着いた雰囲気が印象的でした。
私たちもゆったりと過ごせて、まるで現地の学生になった気分を味わえました。その時間が、台湾の暮らしに触れる貴重な体験になったのを今も覚えています。
実際に、隣のテーブルの学生が親切におすすめメニューを教えてくれて、地元の味をもっと楽しめました。花菜はカフェ風の空間に夢中で、2人とも写真を何枚も撮っていました。
実用情報|駅弁&学食の楽しみ方ガイド
台鐵便當(台鉄の駅弁)
台北駅や高雄駅の売店で駅弁を買いました。値段は70〜120元くらいで、手頃な価格が嬉しいです。定番は揚げたての豚スペアリブが乗った排骨便當や鶏腿便當、ベジタリアン弁当もあり、どれも美味しそうでした。
列車に乗る前に買うのがおすすめです。乗ってから食べると、旅気分がぐっと高まりますよ。
窓の外に広がる田園風景を眺めながら頬張ると、心まで満たされる幸せを感じました。
子どもたちの笑顔が弾けて、家族みんなで共有する時間が特別なものになった瞬間でした。
台湾大学の学食
台湾大学の学食は、一般の人でも案内に従えば自由に入れます。営業時間は平日の11時から14時がメインで、夕方も営業しているお店がありました。
価格は40〜70元ととてもリーズナブルで、学生以外でも気軽に楽しめます。店内は清潔で、まるでカフェのように落ち着いた雰囲気が印象的でした。
私たちもゆったりと過ごせて、まるで現地の学生になった気分を味わえました。その時間が、台湾の暮らしに触れる貴重な体験になったのを今も覚えています。
台湾と日本の学食比較|親子のリアルな感想&会話から見る違い

「台湾の学食って、すごくオシャレでカフェみたいだよね。日本の大学の学食って、もっとザ・学食って感じで、雰囲気が全然違う気がする。」

「うん、台湾のはメニューも豊富でベジタリアン対応とかもあって、健康志向が強いんだよな。日本は結構定食とかがメインだよね。」

「へぇー、学食でそんな違いがあるんだ。台湾は学生だけじゃなくて、誰でも気軽に入れるのもいいよね。なんだか暮らしに密着してる感じがする。」

「そうそう、実際に食べてみると味もやさしくて、友達とカフェでランチしてるみたいにリラックスできたんだよね。」

「日本の学食もいいけど、台湾の学食には『生活の場』っていう温かさがあるなって感じたよ。」
台湾の学食は、ただの食事場所を超えて、学生の日常に寄り添う温かい空間でした。日本との違いを感じながら、私たちも新しい食の楽しみ方を発見できました。
まとめ|“食べること”は“暮らすこと”だった
観光ではなかなか見えない台湾の素顔──それが駅弁や学食を通して、ぐっと近づいてきた気がします。
親子で体験した「台湾の暮らしの味」。それは、きらびやかなグルメ旅とは違う、あたたかくて優しい時間でした。次の旅でも、きっと私たちはまた地元のごはんを探しに行くでしょう。
なぜならその一皿には、言葉では伝えきれない、旅の本質が詰まっているのだから。
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