台湾は、行くたびに新しい魅力を発見できる不思議な国。屋台グルメや歴史ある街並み、豊かな自然……たくさんの見どころがありますが、今回の旅であらためて感動したのは「交通機関のやさしさ」でした。
普段、移動といえば「ただの手段」として通り過ぎてしまうものです。でも台湾では、移動の中に人のぬくもりや土地の空気がふんわり溶け込んでいて、その瞬間ごとに旅の思い出が積み重なっていくんです。
この記事では、台湾の交通機関――MRT、バス、タクシー――の使い方や便利なアプリの紹介はもちろん、**旅の中で出会った“心に残るやさしさ”**をエピソードを交えてご紹介します。私と友人のマリエさんとの体験がリアルに感じられるようナビしていきます。
MRT(地下鉄):安心・快適・親切がそろった台北の大動脈
台湾到着の朝、空港から市内へ向かう車内で、マリエさんが少し不安そうに言いました。

「本当にここまで来たんだね」
ツアーではない旅が初めての彼女にとって、いちばんの心配は“移動”だったようです。
でも、MRTの駅に入った瞬間、その不安はすっと消えていきました。構内は清潔で、表示も日本語・英語・中国語が併記ーー色分けされた路線図も見やすく、「これなら大丈夫ね」と笑顔が戻りました。

色とりどりの路線図が旅を導く
赤い淡水信義線、青い板南線、緑の松山新店線──カラフルなラインを指でなぞりながら、「今日はどこへ行こうか」と話す時間さえ小さな冒険のようです。夜には赤い線で淡水へ向かい、駅前の屋台の明かりに胸が弾みました。

「地下鉄に興味あったけどツアーでは乗る機会ないものね!すごく発達しているのね」
悠遊カードで旅をもっとスマートに

「地下鉄に興味あったけどツアーでは乗る機会ないものね!すごく発達しているのね」
このカードはMRTだけでなく、バスやタクシー、観光地の入場料、コンビニでも使える万能アイテムです。小銭を探す手間もなく、荷物もスマートになるんです。
旅の終わりに残ったチャージは次の旅行でも使えるため、マリエさんは「これ、また来たいって思えるお守りみたいね」と笑っていました。
バス旅で触れる“もうひとつの台湾”
台北中心部から少し足を伸ばすと、「九份」や「十分」など、MRTでは行けない山あいの街があります。私たちは2日目の朝、MRT忠孝復興駅から出ている1062番バスに乗って九份へ向かいました。
バス停を探して地図を見ていると、地元の女性が「こっちよ」と笑顔で手招きしてくれました。
言葉は通じなくても、優しさがすぐに伝わってきます。旅先でのこうした小さなふれあいが、心に残る瞬間です。

山あいを抜けてたどり着く九份
バスが進むにつれ、窓の外には緑に包まれた山道と古い町並みが広がっていきました。ゆるやかなカーブを抜けるたびに景色が変わり、まるで映画のワンシーンのようです。

「行き先は“金瓜石”と表示されていたけれど、途中で九份に止まってくれて安心しました!」
山道を走るバスの揺れや外の風景すべてが、旅の記憶をやさしく彩ってくれました。
乗り方のコツとちょっとした注意点
台湾のバスは、前払い・後払いのルールが路線によって異なります。運転席近くにある「上車收票(乗車時支払い)」「下車收票(降車時支払い)」の表示を確認してからICカードをタッチしましょう。
英語アナウンスがない路線もあるため、スマホアプリ「Bus+」や「台北捷運GO」で停留所や現在地を確認すると安心です。降車ボタンは日本と同じく押すだけでOK。
また、停留所で手を挙げないとバスが止まらないこともあるので、乗る意思はしっかり伝えましょう。
ちょっとした注意点:体験から学んだこと

「バスに乗ろうと10分ぐらい待っていたのに、止まるもんだと思って手をあげなかったらバス行ってしまい、失敗しました。次のバスで無事に行けたからよかったけど、勉強になった1つです。」

「あらかじめ“九份=Jiufen=九份”ってスマホで確認しておいたのが正解だったよね。表示と照らし合わせて、なんとか乗れました。」

タクシーは怖くない!旅を支えるもう一つの足
「タクシーはちょっとハードルが高いかも」と思っていた私ですが、台湾ではその印象がガラッと変わりました。
3日目、台北101からホテルに戻る際にタクシーを利用してみました。運転手さんは日本語も英語も話せませんでしたが、スマホにホテル名を表示して見せると「OK!」と笑顔でうなずいてくれました。
筆談や地図があれば、言葉が通じなくても十分に伝わります。
台湾のタクシーは黄色い車体が目印で、流しでも拾いやすく、初乗りは約70元(約300円)です。チップ不要で料金も明朗会計、**配車アプリ(Uberなど)**を使えばさらに安心です。

実際に乗ってわかった安心ポイント

「あれ?この道あってる?」
タクシーが走り始めて、少し不安にもなりましたが、Googleマップで位置を確認しながらスマホの画面を見せて「ここに行きたい」と指差すだけでOKです。

「没问题(Méi wèntí/問題ないよ)」
その優しい一言で、一気に緊張がほぐれたのを覚えています。台湾のタクシーは、目的地までの距離だけでなく「安心」も運んでくれる存在です。
アプリは旅の強い味方!リアルタイムで安心感
台湾旅行中、「ちゃんと目的地に着けるかな?」という不安を和らげてくれたのが、スマホの交通系アプリでした。特に役立ったのはこの3つです。
・Googleマップ:乗換案内はもちろん、バス停の場所や徒歩ルートもすぐにわかります。九份行きのバス停を探して迷っていたとき、Googleマップに表示されたルートが本当に頼りになりました。
・Bus+:地方のバス移動で大活躍。バスの現在位置やあと何分で来るかもリアルタイムで表示され、マリエさんと「あと3分だって」と話しながら安心して待つことができました。
・台北捷運GO:MRTの出口案内や車内の混雑状況がわかるのが嬉しいポイント。エレベーターが必要なときにも便利でした。
迷わない旅が“安心”をつくる
どのアプリも直感的に使え、言葉に不安がある方にも心強い味方です。
旅先では「迷わない」ことが安心に直結するので、SIMカードやeSIMでネット環境を整えておくのが、旅をスムーズにする最大のポイントだと感じました。
スマホの中に“旅の道しるべ”がある、そう感じた瞬間、台湾の街をもっと自由に歩けるようになりました。
思いやりに包まれた駅と街で、心があたたまる

「子どもたちや妊婦さん、高齢者に向けた自然な気遣いがすごく温かいの。日本の田舎のようなぬくもりを感じたわ。」
終わりに:移動が“旅の楽しさ”をつくってくれる
台湾を旅して感じたのは、交通機関の便利さだけでなく、そこに流れる人のやさしさでした。
MRTで席を譲ってくれた若者、バスで高齢者を気遣う運転手、バリアフリーが整った駅の構造、そのどれもが、「旅人も、暮らす人も心地よい場所」を作っていると感じました。
そして何より、そこにいる人たちのやさしさが、台湾の交通を「単なる移動手段」ではなく、「旅の思い出」に変えてくれるのです。
ふとした瞬間、日本の昭和時代のあたたかさを思い出すような光景に出会うこともありました。台湾の交通は、移動手段以上に“心がほぐれる時間”をくれました。
安心して旅ができる、そんな台湾のやさしさに、ぜひ触れてみてください。初めて台湾を訪れる方も、久しぶりに行く方も、ぜひこの記事を参考に、楽しく安心して旅を満喫してくださいね!
  
  
  
  

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