台湾の夜は、ただの食事では終わりません。屋台の灯り、漂う香ばしい匂い、にぎやかな声──そのすべてが、まるで異国の魔法にかかったような感覚を呼び起こします。
今回の旅は、娘の花菜が「今度は三人で来ようよ!」と言った一言がきっかけです。私・Luluco、息子のりゅう、娘の花菜の親子三人で、台湾のリアルな食文化を求めて夜の屋台へ繰り出しました。
私たち親子は、ビールも屋台も大好きなんです。観光ガイドには載っていない地元の味や、人との出会いに心を動かされながら、一杯目はもちろん台湾ビールで乾杯!今回は、りゅうのナビで巡ったローカルな屋台体験を通じて、五感で味わう台湾の夜をご紹介します。
MRTで向かう饒河街夜市はすでに香ばしい
MRT松山線に揺られながら、車内に漂うエアコンの風と少し湿った夜の空気に、台湾の夜の気配を感じました。電車を降り、駅から夜市へ向かう途中の歩道には、屋台の準備をする人たち、早足で向かう地元客、ゆっくりと辺りを見渡す観光客で賑わっていました。
饒河街夜市の入口に近づくと、むせかえるような胡椒と揚げ物の香りが鼻腔をくすぐります。ジュウジュウと焼ける音、カーンカーンと鉄板を叩く音、氷を割るカランという音ーもうすでに、この夜市全体が巨大な調理場のようです。

「うわ…香ばしい!この匂い、絶対お腹空いてる時に嗅いじゃだめなやつ…」

「でも、これが台湾の夜だよね!!!」
台湾ビールで乾杯!夜市の夜はここから
人混みの合間を縫って、小さな冷蔵ケースのある屋台を発見しました。氷水に浸かった缶ビールが涼しげに並び、りゅうが「三つください〜」と注文すると、おばちゃんが「冷たいよ〜」と紙コップに注いでくれました。言葉は完璧ではないけれど、こうして会話が弾むのが、屋台の魅力です。
プシュッと音を立てて立ちのぼる泡、クセのない甘さと心地よい喉ごしの台湾ビールが、体にすっと染みわたり、暑さを忘れさせてくれます。
屋台の横には簡易テーブルと赤い椅子があり、すでに座っていた地元のおじさんたちが「日本から?」と笑顔で声をかけてくれました。隣のおじさんがピーナッツを差し出すと、花菜は少し戸惑いながらも「謝謝」とにっこり返しました。

「台灣啤酒、好喝吧?」

「はい、すごくおいしいです!」
胡椒餅のパリッという音と金牌台湾ビール
胡椒餅の香ばしさに誘われて、りゅうが「金牌台湾ビールが合うってガイドブックにあったよ」と缶をプシュッと開けました。花菜はライチビール、私はハニーラガーを片手に、焼き上がりを待ちながら屋台の前へ並びました。
ひと際行列の長い屋台では、大きな窯でパリッと焼かれた胡椒餅の香りが漂い、食欲を刺激します。店主の男性が手際よく餡を包み焼き上げる様子と、そばで注文をさばく娘さんらしき女性の姿に、親子の連携の美しさを感じました。

「熱いから気をつけてね〜」
笑顔で手渡された胡椒餅を半分に割ると、ジュワッと湯気と肉汁があふれ出してきました。
周囲を見渡すと、家族連れやカップルたちが手に胡椒餅を持って笑顔で食べています。ある青年が「これ、初めて食べるなら絶対おすすめだよ」と隣の外国人旅行者に話しかけているのが聞こえ、まるでみんながこの味を共有し合っているかのような温かさがありました。

「……うん、やっぱり合う!」とニヤリ

「甘辛い胡椒餅に、ライチのさっぱり感がちょうどいい」

『この胡椒餅私のお気に入りだよ。ここ””福州世祖胡椒餅は食べている通りだけど、次は、””天母老劉胡椒餅””も行ったら良いよ!』
臭豆腐と絶妙に合うビールで更に食が進む!
その先に広がるのは、もう「におい」で存在がわかるエリア。揚げ臭豆腐の屋台の前で、花菜が鼻をつまんで立ち止まりました。

「これは…わたし無理かも…」

「そんな食べず嫌いだなぁ、せっかく来たんだし、一回だけトライしてみ?」

…数秒後、目を見開いて「……あれ?意外といける!、ていうか。。。これ一口食べるとクセになる味。」

「最初はみんなそう言うんですよ〜、臭豆腐を初めて口にした瞬間、その独特な匂いに驚きますよ!そしてハマる人も多いです。」
揚げたての臭豆腐は、ザクッという音とともに、口の中でとろりと崩れ、中から深い発酵の旨味が広がります。屋台の横には常連らしき若者たちが集まり、ソースのかけ方を熱弁している姿もあり、地元に根付いた味であることを肌で感じました。

これと合うビールがこれです!ぜひ一緒に飲んでみてください。
金牌台湾啤酒(Taiwan Beer Gold Medal)
臭豆腐の発酵臭と旨味を引き立てつつ、飲んだ瞬間に口内をリセットしてくれるので、後味がさっぱりするんですよ、女性でも連続で食べても重くならないと人気ですよ!

「ホップの苦味と、割とスッキリとしたのどごしなのね、なんだか、、、また臭豆腐が欲しくなっちゃうのね!止まんないかも!」
焼きとうもろこしの甘さとクラフトビールSUNMAI
焼きとうもろこしが焼ける香ばしい香りが漂う中、私たちは再び違うビールに挑戦。ここでは、台湾のクラフトビールとして人気の「SUNMAI(金色三麥)」を試してみることに。りゅうはIPA、花菜はマンゴー風味、私はラガータイプを選び、ビニール袋に入った冷たい缶を片手にとうもろこしを待ちました。

「請給我一杯。(一本ください)」

「你們是日本人吧?
日本人、よく来てくれるよ。ありがとう」
焼き加減を見極めながら、刷毛で特製ダレを塗ってくれるお店の店員の手つきは熟練そのもので、その所作に見惚れてしまうほど。渡されたとうもろこしをかじると、外がカリッ、中はモチッとした独特の食感。タレの甘辛さと炭火の香ばしさが絡み合い、噛むたびに幸福感がこみあげます。

「あ、このIPAちょっと苦くてパンチあるけど、とうもろこしと相性抜群!」

「私のマンゴービール、デザート感覚で飲める!」
私は香ばしいとうもろこしを口に含みながら、爽やかなラガーで一息。まるで台湾の空気まで味わっているようでした。夜市の中ほどで、炭火の香りが立ちのぼる小さな屋台を発見。おじいちゃんが一本一本、とうもろこしを炭火で丁寧に焼いていました。
後ろに並んでいた地元のおばさんが「それ美味しいでしょ?私も毎週ここで買うの」と話しかけてくれたのが印象的でした。
路地裏の小さな屋台で、旅を振り返る
夜市の喧騒を抜けて、細い路地に入ると、そこにはこぢんまりとした屋台がぽつんとありました。小さいけど、青いビニールテーブルに、赤いプラスチックの椅子。5人分の椅子しかないのに私達が来ると座っていた人が店員だったようで、手招きしてくれました。
常連らしきおじさん二人が、既に席に座り、淡々と料理を楽しんでいます。そこに腰掛けて、最後の一杯を注文。塩味の効いた枝豆と、ちょっとした乾き物がセットで出てきました。

「“你今天去觀光嗎?”(今日は観光ですか?)」

「枝豆にはこのTaiwan Beer Classic(台灣啤酒 クラシック)が最高だよ!」今日はどこ行ったの?

「この“クラシック”、枝豆とちょうどいいですね。最後に落ち着くね〜」

「こっちの女の子と、お母さんにはこのTaiwan Beer 18天(18日熟成ビール)だね!フルーティさが女性にはとても人気だよ!」

「初めて飲むかも!香りがフルーティで、スッキリしてて、爽やか!締めにぴったり!」

「親子で台湾屋台のハシゴ、色んなビール三昧をしてきました!
最後の一杯で、この2日の味がゆっくり思い出に変わっていく感じ…」
こうして地元の人と自然に交われるのも、屋台という“場”の力ですね。笑いながら私たち親子と、お店の常連さんたちと、店主。優しく受け入れてくれる感じがとても居心地良い一夜となりました。
台湾のオススメビール
私達親子はそれぞれが、ビール好きです。でも味の好みはそれぞれ違います。私達が今回飲んだもの、またそれ以外でもオススメビールをまとめてみました。
🍺 台湾のローカルビール5選|旅先で出会いたい、食事と相性抜群の銘柄
● 味の特徴:すっきりとした飲み口、ほんのり甘く軽快
● 価格目安:約35〜45NTD(缶)
● 合う料理:胡椒餅、焼きとうもろこし、海鮮系屋台
● 味の特徴:コクがありつつも後味は爽やか、アルコール感やや強め
● 価格目安:約40〜50NTD(瓶・缶)
● 合う料理:唐揚げ、串焼き、魯肉飯など肉料理全般
● 味の特徴:ほのかに甘くフルーティーで飲みやすい
● 価格目安:約45〜60NTD
● 合う料理:点心、豆花、スイーツ系との相性抜群
● 味の特徴:ジュースのような甘みと華やかさ、初心者にも◎
● 価格目安:約40〜55NTD
● 合う料理:小籠包、水餃子、軽めの点心やサラダ
● 味の特徴:製造から18日以内限定のフレッシュさ、非加熱で濃厚な麦の香り
● 価格目安:約60〜80NTD(瓶)
● 合う料理:臭豆腐、麻辣火鍋、濃い味の夜市グルメ
まとめ:台湾の夜市は、親子の絆を深める場所
台湾ビールで乾杯したあの夜──香ばしい胡椒餅、揚げたての臭豆腐、炭火で焼かれたとうもろこしー湯気と匂いに包まれて、笑い声が自然とこぼれていました。『これ美味しいね』『次どこ行く?』
そんな何気ない会話が、いつもより少し深く心に残ります。ただ食べ歩いただけなのに、不思議とあたたかい時間でした。
ひとくちごとに交わす視線、缶ビール越しの「乾杯!」、その一瞬一瞬が、今も胸の中で静かに灯り続けています。台湾の夜には、人と心が近づく“間”があります。次は、ぜひ大切な人とその時間を味わってみてください。きっと、忘れられない旅になります。
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