「最近、仕事ばかりで全然休めていないね」と娘の花菜がぽつりと言いました。その一言が私の心に響き、思い切って親子2人だけの台北旅行を計画しました。台湾はよく行っている国の一つですが、今回は忙しい私に花菜が気を使い「気軽にサッと行ける場所」と台湾を選びました。
久々の親子旅行にワクワクしながらも、どこか不安も感じていました。美味しいごはん、のんびり街歩き、ちょっとした冒険も楽しでみよう!そんな気軽な気持ちで出発した旅でしたが──台北2日目、予想もしなかった“トラブル”が、私たちを待っていました。
旅の途中で体調が急変
台湾へ着いた足でそのまま中正紀念堂へ行ったときのことです。中正紀念堂の広場で、花菜が「ここで一緒に写真を撮ろう」と笑顔で手を振っていました。私はカメラを構えようとした瞬間、突然目の前が白くなり、足元がふらつきました。
「お母さん!」という花菜の声が遠くから聞こえ、気づけば地面にしゃがみ込んでいました。湿度の高さと寝不足が重なり、軽い熱中症のような症状だったのです。視界がぐらっと揺れて、遠くの花菜の声がかすかに響いてくるのがわかりました。

「なんか、、、身体が重い。」
花菜が私の顔を見て、「お母さん、大丈夫?」と声をかけてくれた直後、私はその場にしゃがみ込んでしまいました。湿気と寝不足、そして軽い熱中症、まさかの体調不良です。言葉の壁、不安いっぱい。だけど台湾は思った以上に旅人に優しい国でした。
タクシーの運転手さんにうまく説明できずに戸惑っていると、近くにいた女性が「ホテル?」と声をかけ、スマホで行き先を伝えてくれました。運転手さんは無言でうなずき、エアコンの風をこちらに向けてくれたので、とても助かりました。言葉が通じなくても、困っている人への優しさが自然と届く──それが台湾でした。
病院に行くとき、何が必要?
ホテルに戻ると、フロントの男性スタッフが私の顔色の悪さにすぐ気づき、「Are you okay?」と声をかけてくれました。片言の英語で「めまいがして…」と伝えると、すぐに冷たいおしぼりとミネラルウォーターを持ってきてくれ、さらに「タクシーを呼びますか?それとも病院?」と選択肢を提示してくれました。
スタッフはスマートフォンで近くの病院を検索し、中国語で症状をメモしてくれたので、病院でもスムーズに受付できました。
持っていったのは、たったの3つです。
- パスポート
- 海外旅行保険証書(コピー)
- スマホ(翻訳アプリとホテルの情報表示用)
日本語が通じる病院はちゃんとあります!
「お母さん、ここかな?三軍総医院って書いてある」タクシーを降りた花菜が、スマホを見ながら病院の看板を指さしました。初めての海外の病院に、私は少し緊張しながらも、建物の清潔な雰囲気に少しだけホッとします。入口から受付へ向かうと、広いロビーには親子連れやご年配の方の姿が見えました。
受付で花菜が英語で尋ねると、スタッフはすぐに「少々お待ちください」と日本語で返答がありました。5分ほど待つと、流暢な日本語を話す女性スタッフが現れ、「ご気分はいかがですか?」と優しく声をかけてくれました。
症状を伝えると、すぐに医師へ通訳してくれ、待ち時間も「お水は必要ですか?」と何度も気遣ってくれたのが印象的でした。日本語を話す女性スタッフのやわらかい声を聞いた瞬間、花菜が隣で「よかったね」と小さく笑って、私は自然と涙がこぼれそうになりました。

「Excuse me, is there anyone who speaks Japanese?」

「ねえ、お母さん、台湾ってやっぱり優しい国だね」
花菜のそのひと言に、うん、ほんとにそうね、と私は何度も頷きました。私がフロントスタッフからもらったメモを見せながら、海外旅行保険証書のコピーを提示すると、受付の方は一瞬で内容を確認してくれました。「OK、そのまま中へどうぞ。」と笑顔で案内され、すぐに診察室へ入りました。

「診察はこれで終わりです、お支払いは不要ですよ。お大事にしてください」

「本当にこれで終わりですか」

「はい。海外旅行保険に加入されているので、あとは保険会社と直接やり取りします。ここではお客様のお支払いは必要ありませんよ」
会計があると思っていた私は、体調がすぐれない中で、お金の心配をせずに診察が受けられる安心感は、何よりありがたかったです。海外旅行保険はかけても使ったことがなかったですが、その大切さと台湾の医療体制に感謝しました。
海外旅行保険は旅のお守りだと痛感
受付で保険証書のコピーを見せると、「このまま診察室へどうぞ」と案内され、診察も薬の受け取りも一切現金を使わずに済みました。以前、別の国で高額な医療費を請求された経験があったので、この時は本当にホッとしました。
「保険に入っていて良かった」と心から思えた瞬間です。でも実は私、以前は保険会社に勤めていたことがあって──**「キャッシュレス診療が受けられるタイプの海外旅行保険」**をいつも選んでいるんです。
こうした保険に入っていれば、提携している病院であれば支払いゼロでそのまま診察を受けられるんです。もちろん、どの病院でもOKというわけではないので、事前に「提携病院一覧」をスマホに保存しておくと安心ですね。ちなみに、保険会社によっては「立て替え払い→帰国後に請求」という形のものもあります。
それから、盗難や手荷物遅延、フライトキャンセルの補償内容も会社やプランによって異なります。
保険に入るときは「何がカバーされるのか」をちゃんと見ておくのがおすすめです。多くの国では、外国人が病院にかかると医療費は全額自己負担になります。
たとえば点滴と検査で軽く数万円というケースもあるので、保険があるかないかで気持ちの余裕がまったく違います。前回、別な国で高額な医療費を払った経験があった私は必ず加入するようにしていました。今回はその大切さを改めて感じました。
📞 緊急時に頼れる通訳サポート
- 台北市観光通訳ホットライン:0800-011-765(24時間・無料)
- LINE通話対応の翻訳アプリ:「Papago」(音声・テキスト両対応)
Lulucoの一言:スマホにメモっておくと安心ですね。また、クレジットカードに海外旅行補償が付帯されている場合もあります。ぜひ確認してみてくださいね!
財布を落とした!そのときMRTでとった行動
翌日、MRTで移動中にふと気づき、私はサーっと血の気がひきました。「あれ……財布がない!」忠孝復興駅で慌てて下車し、改札の駅員さんに英語で事情を説明しました。「日本語できるスタッフ呼ぶね」と言われてホッとしたのも束の間、心臓はバクバクしています。
数分後、現れた職員さんが流暢な日本語で状況を確認してくれました。「乗った時間と車両、思い出せますか?」と優しく聞かれ、花菜と一緒にスマホの写真を見返してなんとか説明しました。約1時間後、「これですよね」と改札の奥から財布を差し出してくれました。
花菜が思わず私の腕をぎゅっと握り、2人で顔を見合わせて笑ってしまいました。私は感無量でした。海外でこんなにすぐに見つかるなんて、感謝しかない!と深く感動しました。

「よかった……!」
中身も無事です。台湾の対応の早さと、丁寧さに感動しっぱなしでした。正直に伝えて、焦らず相談、それだけで、ちゃんと伝わる国なんだと改めて実感しました。
万が一に備えて 役立つ現地サポート一覧
備えあれば憂いなしです。旅行前にスマホに保存、紙にも控えておくと安心です。実際に体調を崩したとき、このリストがすぐに取り出せて本当に助かりました。慌てた頭ではネット検索もままならず、事前の準備が私たちを守ってくれました。
Lulucoの一言:いざという時に備えて、スマホに保存しておくと安心です
内容 | 電話番号 | 対応 |
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台北市観光通訳ホットライン | 0800-011-765 | 日本語・24時間 |
台北市警察 外国人支援 | +886-2-2556-6007 | 日本語可(要確認) |
日本台湾交流協会(大使館相当) | +886-2-2713-8000 | 平日9:00〜17:00 |
海外旅行保険サポート | 保険証券を確認 | 24時間・日本語可 |
帰りの飛行機で、花菜がぽつりと言いました。「お母さん、今回の旅は何だかとても大変だったけど、すごく忘れられない旅になったね」……….たしかに、体調を崩して、財布を落として、ハプニング続きだったけど……現地の人の優しさに何度も助けられた今回の旅は、とても記憶に残る時間になりました。
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