「最近、やたらまぜそばが食べたくなるんだよね。でも日本に帰ってきたからハマちゃったから、台湾ではそんなに食べてないんだよね。台湾のまぜそばってやっぱり、格別かな?」夕食後、ソファでスマホをいじっていた息子・りゅうがふとつぶやきました。
台湾グルメといえば小籠包やマンゴーかき氷が有名ですが、私たち家族が今回の旅で一番驚いたのは「台湾まぜそば」の奥深さでした。息子のりゅうが「台湾のまぜそばって日本とどう違うの?」と興味津々で調べ始め、娘の花菜も「夜市にもあるの?」とワクワク、そんな会話から、私たち親子3人の“まぜそば探しの旅”が始まりました。
お店ごとに香りもトッピングも全く違い、毎回「次はどんな味?」と家族で盛り上がった体験を、リアルな感想とともにご紹介します。
台北・中山「辛殿麻辣火鍋」|“痺れ”と旨味の衝撃デビュー
台北に着いた夜、少し緊張しながら「辛殿麻辣火鍋」へ向かいました。店内に入ると火鍋の湯気と花椒の香りがふわっと漂い、りゅうは「これが台湾の香りかも!」と目を輝かせていました。メニューの片隅に小さく載っている「麻辣拌麵」を見つけて早速の注文です。運ばれてきたのは、鮮やかな赤いタレが絡んだ艶やかな麺がとても美味しそうです。

花菜は「見た目より辛そう…うわっ、辛いけど止まらない!」

「これは日本では味わえない舌に広がる痺れと旨味のバランスね!」

「これ、日本の辛さと全然違う。立体的で深みがある、ああ、これぞ台湾の辛さだね…」
・価格目安:NT$120〜
・アクセス:MRT中山駅から徒歩5分
・注文ポイント:「拌麵(バンミェン)」はメインの火鍋メニューの隅に小さく載っているので見落としに注意。写真を指差すとスムーズ。
・辛さの目安:見た目よりマイルドだが、花椒(ホアジャオ)の“舌に残る痺れ”が本格的。辛さが苦手な方はシェアや少量からが安心。
・訪問時の注意点:ピークタイム(18:30〜20:00)は地元の人や観光客で混雑。静かに楽しみたいなら17時台が狙い目。グループ利用時は事前予約が無難。
Lulucoからの一言メッセージ:「舌が痺れるのに、気づけばまたレンゲを手にしている。台湾の“辛い”はクセになる美味しさでした」
永康街「四海豆漿」|朝の光とやさしい味に包まれて
2日目の朝は、少し早起きして永康街の「四海豆漿」へ行きました。屋台風の店舗の前には地元の人たちが行列を作っていて、私たちは少し緊張しながら並びました。花菜が小声で「朝からまぜそばって、重くないかな…?」と心配そうにつぶやきました。
でも、出てきた拌麵を見て驚愕しました。細めの麺に半熟卵がとろりとのり、やさしい香りのタレと、別添えの豆乳スープ仕立てなんです。豆乳をレンゲで少しずつ麺にかけて混ぜると、タレの香りがふわっと和らぎ、麺がクリーム色に変化しました。
花菜は「この優しい甘さ、朝ごはんにぴったりだね」と目を細めてにっこりです。私も、普段は朝から麺はどうかなと思っていたのですが、豆乳のやさしさが体に染みて、「台湾の朝はこうなんだ」としみじみ感じました。地元のおじいちゃんたちが新聞を読みながら静かに朝食をとっている風景も印象的でした。

「これはもう、朝ごはんというより“癒し”だね」

「豆乳の味が優しいね!」

「豆乳かけそばって新しいジャンルだね」
豆乳を少しかけて混ぜると、まろやかでホッとする味に変化しました。新聞を読みながら朝食をとる地元のおじいちゃんたちの風景も含めて、ここでしか味わえない一杯でした。
・価格目安:NT$60〜
・アクセス:MRT東門駅から徒歩8分
・注文ポイント:「拌麵(バンミェン)」と「豆漿(豆乳スープ)」は別注文。混雑時は番号札制で、カウンターでの注文&受け取り。指差し+簡単な中国語があると安心(例:「イーガー 拌麵」=まぜそば1つ)。
・おすすめ時間帯:7:00〜8:00頃が比較的スムーズ。ローカルの人々に混じって、ゆったり朝の風景を楽しめます。
・訪問時の注意点:店舗は小さめで、屋台スタイル。席数は少ないため、1人〜2人利用がおすすめ。休日は特に混雑します。テイクアウトも人気。
Lulucoの一言メッセージ:「タレに豆乳をかけると、驚くほどやさしい味に。朝からほっとできる台湾ローカルの味、ぜひ体験してみてください」
西門町「虎記麺線」|限界に挑戦!爆辣チャレンジ
午後、西門町を散歩していたとき、りゅうが唐突に言いました。

「今日は…激辛いってみようよ」

「え〜?!ムリムリ!激辛はムリ、お兄ちゃんだけ行ってよ」

「そう言いながら花菜、俺が食べてるの横で見てみたいんだろ?味見だけすりゃ良いじゃん!」
りゅうの言葉に乗せられ、私たちが向かったのは「虎記麺線」です。看板には「爆辣拌麵」の赤い文字が引き立っておりすぐにわかりました。

「辛さ、選べますよ」

「小辣(少し辛め)」

「請少點辣(極力控えめに)」

「中辣(中辛)」
麺が到着し、ひと口すすると…喉の奥がピリピリ。「うわあ、これヤバい」と花菜が慌てて水を飲む横で、りゅうは汗をかきながら「うまっ…中毒性あるわぁ」と満面の笑みです。私は3人とも辛い!と言いながらお箸が止まりません。

「辛くて目に染みる、涙が出てくる。。。」
隣に座った台湾人カップルが笑いながら「辛さにようこそ」と話しかけてくれて、思わぬ交流も楽しめました。
・ 価格目安:NT$100前後
・ アクセス:MRT西門駅から徒歩10分
・ 注文ポイント:「爆辣拌麵(バオラー バンミェン)」が看板メニュー。辛さは3段階(小辣・中辣・大辣)から選択可能。初めての方は“小辣”が安心。
・中国語が苦手でも大丈夫:メニュー表には辛さのレベルも明記されており、指差し注文OK。飲み物(冷たい豆乳など)を一緒に頼むと安心。
・店舗情報:カジュアルな屋台風店舗。店内席あり。地元の若者にも人気で、食事時間帯は混み合うことも。テイクアウトも可。
・ 注意点:とにかく“油と唐辛子のパンチ”が強め。空腹すぎる時や胃が弱い方は避けた方がベター。食後は喉の渇きに備えて水分をしっかりと。
Lulucoの一言メッセージ:「ただ辛いだけじゃない。“痺れ”と“旨味”のダンスみたいな一杯。ちょっと泣いたけど、忘れられない味でした!」
民生社区「素心齋」|心と体にやさしい“癒し系”まぜそば
3日目の午後、台北の街を歩き回った疲れが少しずつ体に出てきたころ、花菜がぽつりとつぶやいた。彼女の表情はいつもより少し静かで、日差しに照らされた頬も、心なしか疲れて見えました。

「ねえ、お母さん…今日は、やさしい味がいいな。なんか、ちょっとだけ胃が重たくて…」

「そうだね、ちょっとホッとできるものにしようか」

今日は“癒し系まぜそば”って感じか」
私たちが向かったのは、民生社区にあるベジ系料理の人気店「素心齋(スーシンジャイ)」です。入口のガラス扉を開けると、木の香りがふわりと漂い、店内には心地よいギターのBGMが流れていました。照明も柔らかく、まるでカフェのような落ち着いた空間です。
席に着くと、花菜がほっとしたように深呼吸をしました。

「うわぁ、こういう雰囲気、今すごくほしかったかも…何だかホッとする」
私たちが注文したのは「豆乳味噌拌麵」。白い陶器の器に、やや太めの麺。見た目は驚くほどシンプルなのに、豆乳の白さの中に味噌の香ばしい香りが立ちのぼってきます。箸でそっと混ぜて、ひと口すくいました。

「…ああ、染みる…」
その声は、まるで温泉に入ったときのような、じわっとした安堵の響きだでした。

「味噌ってこんなに丸くなるんだね。豆乳と混ざると、しょっぱさじゃなくて、旨みだけが残る感じ…」
私もひと口食べて、驚きました。豆乳と味噌のやわらかなコクが、疲れた胃にじんわり染みわたっていく。まるで出汁のような奥行きがあり、こってり感はまったくなし。体の奥からふわっと温かくなるような、やさしい味わいでした。
そのとき、花菜が静かに私を見つめながら「これ、家でも作れる?」と目を輝かせました。そのひと言に、私はすぐレシピの構想を頭に描きはじめ、手帳にメモを取り始めました。
旅先で出会った一杯が、ただのまぜそばではなく、心を癒す体験になる──そんな実感が、私の中に深く残りました。帰国後もまたこの味を再現したい。そう思わせてくれる、忘れられない一皿でした。
・ 価格目安:NT$130前後
・アクセス:民生東路×建國北路付近
・注文ポイント:「豆乳味噌拌麵」は看板メニューのひとつ。まぜる前に香りを楽しみ、少しずつ味の変化を楽しむのがコツ。ベジ対応なので胃にやさしい。
・ おすすめ時間帯:14:00〜17:00のカフェタイムは比較的空いていて静か。女性ひとりでも安心して入れる落ち着いた雰囲気。
・ 訪問時の注意点:注文後は番号札制で、料理が出るまでやや時間がかかることも。時間に余裕を持って訪れるのがベスト。ビーガン・五葷抜きメニューも一部対応あり。
Lulucoの一言メッセージ:「豆乳と味噌が、体にふわっと染みわたる。旅先で見つけた“やさしさを食べる”一杯でした」
台北駅前「大王拌麺」|旅のフィナーレを飾る“王者の一杯”
台湾最終日。朝のチェックアウトを終え、スーツケースをホテルに預けたあと、私たちが最後に向かったのは「大王拌麺」。地元でも観光客にも人気の有名店で、開店前からすでに数人の行列ができていました。

「うわ、すでにニンニクの香りしてきた…」
店の前を通りかかった瞬間から、焦がしニンニクと醤油の香ばしい香りが風に乗って流れてくる。扉を開けた瞬間、厨房から立ち上る湯気と香りに包まれて、私たちは思わず顔を見合わせた。

「この匂い、猛烈におなかすいてきた!食べるのが楽しみ!」
待つこと数分、運ばれてきたのは、シンプルながら力強い一杯です。湯気の向こうに見える麺のツヤと、刻みにんにくがカリカリに焼かれて散りばめられたトッピング──すでにビジュアルだけでダントツな美味しさです。
3人それぞれ、飛びつくようにひと口すすりました。濃厚な醤油ダレが焦がしニンニクの香ばしさを引き立てて、旨味が一気に押し寄せてきます。「これは…帰る前にこれて良かったー…」と思わずつぶやくと、りゅうが真顔で「マジで!」と言い出して、3人で吹き出しました。
店内は清潔で、英語メニューも完備されていて、外国人の姿もちらほらいます。ひとつのテーブルを囲むように、笑いながら麺をすすっている私たちの姿が、旅の集大成のようにも思えました。
“おいしい”という言葉だけじゃ足りない、ガツンと記憶に残る味と、笑い合う時間がそこにはありました。それはまさに、旅のフィナーレにふさわしいひとときでした。
・価格目安:NT$150前後
・アクセス:台北駅南側 徒歩圏内
・ 注文ポイント:看板メニューは「焦がしニンニク拌麵」。香ばしいにんにくの香りとコク深い醤油ダレが特徴。並・大盛どちらも選べて、ボリューム重視の方にも◎。
・外国人向け情報:英語・日本語メニューあり。店員さんも外国人対応に慣れており、初めてでも安心。注文はカウンターで先払い制。
・店舗情報:カジュアルな内装で入りやすく、1人客〜家族連れまで幅広く対応。回転率が早いので行列も比較的スムーズ。
・訪問時の注意点:昼時(12:00〜13:30)と夜(18:00〜20:00)は混雑必至。時間に余裕を持つか、開店直後が狙い目。焦がしニンニクの香りが強いので、食後の予定に注意を。
Lulucoの一言メッセージ:「一口でガツン。香ばしさと旨味が口いっぱいに広がって、“最後の一杯”が忘れられない思い出になりました。」
まとめ|“まぜそば”がつなぐ、旅と家族の絆
エーションがあるなんて知らなかったね」と話し合いました。花菜は「辛いのも、やさしいのも、どれも台湾らしさが詰まってた」と終始にっこりでした。まぜそば巡りは、単なる食べ歩きではなく、家族の会話や発見がたくさん生まれる時間でした。
次の台湾旅行では、ぜひ自分だけのお気に入りの一杯を探してみてください。きっと新しい物語が生まれるはずです。
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