「ママ、今年はどこか特別な場所で春を感じたい!」娘の花菜の一言がきっかけで、私たちは台湾・陽明山の桜まつりへ旅立つことに決めました。
台北の喧騒を抜け、バスの窓から見え始めた山並みと、遠くに霞む桜色のグラデーション。あの瞬間の高揚感は、今も鮮明に心に残っています。
実際に現地で感じた空気の匂いや、娘と手をつないで歩いた桜のトンネル――この記事では、私たち親子が体験した「陽明山桜まつり」のリアルな春旅を、現地の温かい人々との交流や、旅先でしか味わえないグルメ・お土産情報とともにお届けします。
陽明山(ヤンミンシャン)ってどんな場所?桜まつりの舞台になる花の楽園
台北の北側、バスでわずか40分ほど走りビル群を抜けると、空気は一変し、緑の香りが鼻先をかすめます。そこが、台湾屈指の自然スポット「陽明山国家公園」です。
春になると、ここは3万本もの桜が一斉に咲き誇り、山全体が淡いピンク色に包まれる「陽明山桜まつり(陽明山花季)」の舞台に変わります。まるで絵画の中に飛び込んだような素晴らしさになります。
私たちが訪れたのは2月の終わり。日本ではまだコートを手放せない時期ですが、台湾の春は一足早く、頬に優しく触れる風の中にやわらかな陽光と花の匂いが混ざっていました。

「ママ、春の匂いがするね!」

「草花や木々の匂いが爽やかね!」
花菜が、うれしそうに鼻をくんくんさせる姿に、思わず私も便乗してしまい笑みがこぼれました。
私たちの春旅スタート|ホテルから陽明山へ向かう朝
旅の2日目、台北市内のホテルで目覚めると、窓の外には快晴の空が広がり、私たちを誘っているようでした。

「今日は絶対、陽明山に行こう!」
花菜の声に押され、私たちは身支度を整え、地下鉄へ向かいました。MRTに揺られながら、スマホでルートを再確認していると、花菜が「バスの乗り換え、私がナビするね!」と得意げに言います。
成長したなぁと感慨にふけりながら、バスに乗り込むと、窓の外にちらちらと桜が見え始めました。

「すごいわね、ナビしてくれるなんて!」

「ママ、あそこ見て!満開だよ!」
花菜が指差す先には、もうほころび始めた桜の木々が色鮮やかです。バスの中で、隣に座った地元のおばあちゃんが、私たちの持っていたガイドブックを見て話しかけてくれました。

「初めての陽明山?」
隣に座った優しそうなおばちゃんが声をかけてくれました。

「はい、初めてです!」

「じゃあ、花時計は絶対に午前中よ。午後は観光客でいっぱいになるから。」

「もし時間があれば、私のおすすめは山頂近くの小さな茶屋。桜の花びらが浮かぶお茶が飲めるの」
おばあちゃんは地元ならではの裏技や、地図に印までつけて丁寧に教えてくれたのです。見知らぬ土地で、こうして現地の人と自然に会話が生まれる――それが旅の醍醐味だと、改めて感じました。
桜のトンネルをくぐる|花と光と、出会いの時間
バスを降りた瞬間、冷たい空気の中に、ふわっと甘い桜の香りが漂ってきました。
坂道を登るたび、空が少しずつ桜色に染まっていく感覚が非日常的で、ウットリしてしまいます。
公園の入り口を抜けた瞬間、目の前には、まるで雲海のように桜並木が広がっていました。

「うわぁ……!」

「すごい……うわぁ」
私たちは思わず声が出ました。花菜は手を広げ、舞い落ちる花びらをつかまえようと、くるくると回り始めました。地元の小学生たちが写生をしている姿もあり、一人の男の子が「桜の精霊に会えるかもよ!」と教えてくれました。そんな無邪気なやりとりに、思わず心がほどけていきます。
人々の笑顔、カメラのシャッター音、そして舞う花びらたち、そのすべてが春の交響曲のように響いていました。
ベスト撮影スポットでのひととき|花菜との記念写真に込めた想い
花菜が「ここがSNSで見た花時計だよ!」と小走りに駆け寄った先には、想像以上に大きな桜の木と、色とりどりの花で飾られた時計台がありました。 風がふわりと吹くたび、桜の花びらが髪に、肩に、ふんわり降りかかります。
ふたりで「どんなポーズが一番桜が映えるかな?」と試行錯誤しながら、何度もシャッターを切りました。

「ママ、ここがSNSで見た花時計の場所だよ!顔に花びらついてるよ!」
風が吹くたびに桜の花びらが舞い、花菜の髪や私の肩にふんわりと降りかかる――そんな一瞬を写真に収められたことが、この旅一番の思い出です。
桜の下でランチタイム|素朴であたたかな台湾の味
桜並木を歩き疲れたころ、ちょうどいいベンチを見つけました。周囲の屋台からは、桜にちなんだ食べ物の香ばしい匂いが漂ってきます。屋台で迷っていると、店主のお兄さんが「これは今朝、竹子湖で採れた桜エビだよ」と自慢げに教えてくれました。
勧められるままに「桜エビ入りおこわ便當」を購入。ベンチで蓋を開けると、湯気とともにふわっと桜の香りが立ちのぼります。 一口食べた瞬間、もち米のもっちり感と桜エビの香ばしさが絶妙で、思わず花菜と顔を見合わせて「おいしい!」と声を揃えました。

内容を入力してください。

「この櫻花茶、何だか桜をまるごと満喫しているみたい」
さらに、隣の茶屋で出会った「櫻花茶」は、淡いピンクの花びらが浮かび、見た目も春そのもの。お茶を口に含むと、ほんのり優しい甘さが広がり、旅の疲れがふっと癒されるようでした。
現地でしかできない体験とお土産
旅の中でふと手に取った小さなものが、あとになって心に深く残ることがあります。
陽明山の桜、あたたかな香り、やわらかな空気はライブな体験でしか味わえないものでした。
ここでしか出会えない体験と、そっと思い出を閉じ込めるお土産を集めました。
カラーも余りにも綺麗で、少しでもこの余韻を感じたくて少し持ち帰り、ホテルの部屋で満喫しているうちに、陽明山の桜たちに思いを馳せることができました。
陽明山・台北で買えるおすすめお土産リスト
選りすぐったお土産です。陽明山以外の地域で手に入るものもありますが、陽明山付近でこの時期に購入することで、季節限定の桜モチーフが沢山ありました。
商品名 | 内容 | 画像 |
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馬蹄蓮 カラー(オランダカイウ) |
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桜の押し花ポストカード |
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桜モチーフ陶器・雑貨 |
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櫻花豆沙麵包 (桜餡入りパン) |
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櫻桃果醬(桜ジャム) |
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日月潭紅玉紅茶 |
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ヌガー(牛軋糖) |
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Koti Koti クッキー |
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鳳梨蛋糕 (パイナップルケーキ) |
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櫻花花瓣甘酒 (桜の花びら入り甘酒風飲料) |
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桜の押し花ポストカードは、花菜と一緒にワークショップで手作り体験をしました。花菜は名前の通りとても草花が大好きなのでとても喜んでいました。また、お土産にするにも軽くて荷物にもならず最適でした。帰国後も会社や自分の部屋に飾って、台湾の余韻を楽しんでいます。
この季節、「台湾甜商店(タイワンテンショウテン)」やスターバックスなど、季節限定の桜モチーフバージョンが溢れています。あなたにあった一品に出会えるといいですね。
陽明山へのアクセス・料金ガイド
陽明山への私たちが使った、シンプルだと思う行き方をお伝えします。
📍 所在地
住所:台北市北投区竹子湖路1-20号
公式サイト:陽明山国家公園公式サイト
🚍 行き方(公共交通機関)
MRTとバスの利用:
MRT淡水信義線「剣潭駅」または「士林駅」からバス「紅5」に乗車し、終点「陽明山總站」で下車(所要時間:約45分)
台北駅からのバス:
台北駅北二門出口から「大都會客運260」バスに乗車し、終点「陽明山總站」で下車(所要時間:約1時間)
💰 入場料
陽明山国家公園への入場は無料です。
💸 交通費の目安
バス運賃: 市内から陽明山までのバス運賃は約15元(約70円)
タクシー利用: 台北駅から陽明山までタクシー利用で所要時間約40分、料金は約600元(約2,200円)
まとめ|陽明山で出会った、心に咲く春
陽明山で過ごした春の日々は、単なる観光以上のものでした。日本の桜と比べて、台湾の桜はどこか自由で、山の空気や人々の温かさと溶け合っているように感じます。 特に印象的だったのは、現地の方々が「桜は家族や友人と過ごすための特別な時間」と語ってくれたことです。
花菜が小さな声で「きれいだね」とつぶやいた瞬間、胸がじんわりと熱くなったのを覚えています。
花菜と一緒に歩いた坂道、現地の人と交わした笑顔、そして桜の香り――この旅で得た“優しさ”は、何年経っても色褪せない宝物です。
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